本記事では、代表的なオイルメジャーである3社(エクソン・モービル【XOM】、ロイヤル・ダッチ・シェル【RDSB】、BP【BP】)の株価と原油価格の相関性を述べます。
原油価格の指標としては、WTI先物を用います。理由は、取引量・市場参加者数ともに、WTI先物市場は世界の原油市場の中で圧倒的に多く、同市場の流動性・透明性が高いからです。
オイルメジャーの株価と原油価格の関係【強い相関性】
オイルメジャー各社の株価と原油価格(WTI先物)の相関性は強いと言えます。
下段に、以下3項目の関係を図示します。期間は2007年8月~2020年2月です。
- WTI先物 vs XOM株価
- WTI先物 vs RDSB株価
- WTI先物 vs BP株価
1)原油価格とオイルメジャーXOM株価の関係
エクソン・モービル【XOM】の株価は、まるで一時期の「ドル円と日米金利差の関係」のように、一時期WTIの動きと乖離する期間があるものの、概ね連動、そして収れんしています。
相関性は極めて強いと言えます。
2)原油価格とオイルメジャーRDSB株価の関係
英蘭石油メジャーであるロイヤルダッチシェル【RDSB】の株価は、もうほぼWTI先物の値動きと同じであることが確認できます。
相関性は極めて強いというか、もうほぼ連動してます。
3)原油価格とオイルメジャーBP株価の関係
英石油メジャーのBPと原油価格の関係も上述2社と同様です。もはや2015年以降に至っては、グラフ重なってますね(笑)
相関性は極めて強いです。
ということで石油メジャー3社と原油価格の相関性は以下の通りになります。
1)WTI先物 vs XOM株価
→概ね連動、相関性強い
2)WTI先物 vs RDSB株価
→ほぼ連動
3)WTI先物 vs BP株価
→ほぼ連動。特に2015年以降は値動き一致。
そもそも石油メジャーは、「石油の採掘・生産等の上流部門から、輸送・精製・販売等の下流部門に至るまで、石油産業の全段階をカバーする事業に従事しています。
例えばエクソン・モービルは、利益割合のうち上流部門が概ね過半を占め、これらは原油価格の高低が大きな要因となる部門です。
下図はエクソン・モービル【XOM】の部門別利益の割合ですが、過去5年間平均で上流部門が占める利益の割合は全体の60%に上ります。
そしてWTI先物(原油価格)と概ね連動していることも上図から読み取れます。逆に石油製品は逆相関の傾向が見られます。
オイルメジャーのポートフォリオが相当大きく変わらない限りは、やはり今後も原油価格に連動することが予想されます。
ですから、オイルメジャーへの投資にあたっては、原油価格の動向を念頭に置く必要があります。
原油価格の今後と分散必要性
エクソンモービルが発表した2018年版のエネルギーアウトルックによれば、16年の実績値と40年時点での予測値とを比較した値で、以下供給面での年率見通しを発表しています。
- 石油:+0.7%
- ガス:+1.3%
- 石炭:-0.1%
- 非化石(再生可能エネルギーと原子力):+1.6%
世界全体のエネルギー需要増大に伴い、輸送用機器(車・船舶・航空機)用の石油需要は20年代にピークアウトするものの、商用の伸びから全体で30年代半ばまで増加見通しであることが背景にあります。
当然、石油メジャーのエクソンモービルの見通しですから、希望的観測が含まれている見方もありますが、20年末に向けて、年平均320億ドルの設備投資を発表していることが、その見通しに対する自信の表れなのでしょうか。
また、IEA(国際エネルギー機関)「World Energy Outlook 2016」によれば、石油製品需要の見通しは2030年にかけて北米・欧州は減少見込むも、そのほかアジア・太平洋地域や中東・アフリカ・中南米地域の増加により、全体として増加を見込んでいますが、どうなるでしょうか。
石油や天然ガスは引続きある程度のポジションは維持するという前提の下、エネルギーセクターに一部資金を割く場合においても、産業構造の変化が起これば、上記のような予測は絵に描いた餅であり、エネルギーセクターへ投資する際には引続きほかのセクターにも分散は必要と思います。
ご参考になりましたら幸いです。
Best wishes to everyone!
スーパーメジャー(オイルメジャー)の筆頭格であるエクソン・モービル【XOM】の銘柄分析です。比較的事業ポートフォリオが分散され、業績も比較的安定していることが特徴ではあります。
同じくスーパーメジャーの一角であるロイヤルダッチシェル【RDSB】の銘柄分析です。