『アイム・スティル・ヒア』 ブラジルで起きたこと、寂寥感と運命論

ずっしり来る内容でした。
ブラジル人作家でジャーナリストのマルセロ・ルーベンス・パイヴァが2015年に発表した回顧録「Ainda estou aqui」が原作。史実に基づいた内容のようです。
舞台はブラジル。おそらく多くの日本人にとってあまり同国の歴史にはなじみがなく、サンバやビーチ、陽気な国民性といったイメージかもしれません。しかしひと昔前にこのような出来事があったのですね。
私たちは(私だけ?)、今あるささやかな幸せが散りばめられた電車に乗っていても、その線路がまるでこの先も続いているかのように考えがちかと思います。
なにかを選択できるならまだいいほうで、大切なものを、突然なんの前触れもなく目の前から奪い去られることも世にはありますね。大罪を犯したわけでもないのに、不条理にも。
そして人の、家族の人生を一変させてしまうことがある。
そう考えると、運命論や宿命論(人間の意志や努力と関係なく、万事はあらかじめ定められている、とする考え方)は全くの荒唐無稽なものであると全否定するのも難しかろうと思い至ります。必ずしも因果応報になるとはかぎらないと。
以上のようなことにも考えをめぐらせる機会を得られるような作品でした。
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