円高で米国株などの評価額は目減りする一方、円保有者の購買力は向上
米国株など外国株式に投資している方で、昨今の円高で「資産が減ってしまった…」とお感じになる方もおられるかもしれません。
米当局のレートチェックは意外性あり
まず円高の引き金となった「米当局・NY連銀のレートチェック(為替介入の前段階)」が市場で観測されたことは予想外でした。市場も短期筋はポジションの巻き戻しを余儀なくされた格好でしょうか。
「日本の単独介入には限界あり」
米ドル円レートに対する雑感は以下でした。
「日本単独での為替介入をしても(以下要因から)効果は限定的だろう、円安にどう対処するのだろうか」
- 日米の実質金利差が依然大きい(継続的な円安圧力)
米10年実質金利1.94%に対し、日本は0%近傍 - 日本の国際収支の改善は見通しづらい
- 円買い介入は介入原資となる外貨準備高に限界あり
日米の協調介入シナリオは念頭になく、むしろ米当局は「インフレ抑制のためにドル高は望ましい状況だろう」という印象が強くありました。しかし、
- 昨今の米インフレ率は落ち着いている(3%以下)
- ベッセント財務長官もかねてより、円が安すぎる、利上げが遅すぎるとの言及に加え、トランプ氏も通貨安政策に批判的な過去あり、米国がドル売り介入に肯定的なのは時系列として整合的ではあります
- また、円債の下落に欧米債が連れ安したこともあり、円の安定化は米国にも資するといったところでしょうか
- 加えてドル売り介入は、外貨準備の制約があるドル買いと異なり、ドルを刷れば理論的には制限なく介入できるので強力と言えば強力でしょう
ということで、米国のドル売り介入を正当化する要素も事欠かない状況ではあります(要素を探しだせばいくらでも見つかる、ということでもありましょうけども)。
円高の側面
一部メディアでは「円高=株安=よろしくない」という図式で報じられることもありますが、本来円高は、円を経済圏とする国民にとって望ましい現象です。
たしかに外国証券の円建て価格は下がりますが、円で給与収入を得ている、または円で生活しているならば「円高は自国通貨の価値(購買力)が上がることと同義」ですから、本来よろこばしいことになります。
円安は
- 「物価上昇」や「円建て資産を保有する国民の購買力低下」と引き換えに、
- 「日本株の主力銘柄(輸出系企業)の利益を底上げし、利害関係者(資本家)に利潤をもたらす現象」
という側面も指摘できます。そして、自国通貨が安くなり続けることは、資産を外国に安売りしている状況です(ましてや土地購入を開放している国ですし…)。
投資家(資本家)にとっては評価額の目減りが痛手に感じやすいかもしれませんが、「日本という国で働き、生活を営む人々」にとっては、円高は本来歓迎されるべき事態ではありますね。
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円高恩恵銘柄。
基本的に分散で多様なシナリオに対応するという考え方。