「インフラファンドへの投資、どう考えるか」というご質問に対する回答

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「インフラファンド」への投資、どう評価するか

以下ご質問に回答しています。

ご質問

題名: インフラファンド

メッセージ本文:
初めまして。

いつも投資関連の記事も、それ以外の記事も楽しく読ませていただいております。

最近はリートへの投資を増やされているようですが、インフラファンドはどのように分析されていますでしょうか?

金利の上昇やFIT終了など、ネガティブなニュースが続いておりますが、一方で値はかなり下げており、今が買い場なのではと素人考えで思ったりしています。お手隙の際に、ブログでご考察を教えていただけますと幸いです。

こんにちは、いつもご覧いただきありがとうございます。回答お待たせいたしました。

インフラファンドとは

インフラファンドとは、日本では主に太陽光発電へ投資するファンドで、売電収入を原資に利益を投資家に分配する仕組みです。

インフラファンドの仕組み(出所:朝日新聞デジタル)

リートの仕組み(筆者作成)

上図2つを見比べるとわかるように、仕組みとしてはリートに似ていますね。

8%を超える高配当

では、以前投資していたこともある「カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人(9284)」を具体例に見ていきましょう。以下月足チャートの通り、たしかに直近の投資口価格は低迷しています。

カナディアンソーラー・インフラファンドの分配金は、直近の傾向として通期で6,600円。現在の投資口価格75,000円を基準とすると、分配利回りは 8.8% とかなり高配当です。

ただし、私が投資していた2019年頃も分配利回りは8%弱と高かったのです。今より株価は3割ほど高かったにもかかわらず。ということは、以前より分配金が減っているということです(後述)。

インフラファンドをどう評価するか

一方でインフラファンドへの投資にあたって認識しておきたいのは以下かと思います。

  1. インフレに弱い
  2. 出力制限・政策変更
  3. 天候不順
  4. 分配金は減っている

ポイント①:インフレに弱い

同社決算資料によると、固定金利比率88.0%(2024年12月末時点)なので、利上げに対する耐性は当面あると推察できます。

しかし固定価格買取による売電収入を柱としている以上、一部リートのようにインフレ連動の賃収契約には未だになっていないようですね。

以上から、インフレになるほどインフラファンドの収益性は相対的に落ちると考えられます。なぜなら、たとえば物価が3%上昇しても、インフラファンドの収益が連動して3%上がらなければ、実質的な収益は目減りするからです。

この点、株式はインフレ分を売価に転嫁できる業態ならばインフレ分売上が伸びますし、リートもインフレ連動の賃収契約(例:一部物流系リート)であればインフレ分賃収が伸びます。これがインフラファンドと、株式・リートとの違いと言えるかと思います。

そして目下、日本はインフレです。総務省が21日発表した2月の消費者物価総合指数(CPI)は総合で前年同月比3.7%上昇し、G7で最も高い値となりました。

補足:日本のインフレ

もっとも、日本のインフレはサービス価格(人件費)がけん引というよりは、いわゆるコストプッシュ型(円安や食料品価格の上昇、原材料価格の上昇が要因)インフレであるため、持続性は為替・商品市況次第とも言えます。

ポイント②:出力制御、政策変更リスク

たとえば、カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人が主に保有する九州電力管内の太陽光発電所では、「出力制御」がたびたび実施されています。

詳しくは九州電力の解説に譲りますが、要約すると「電力は供給が多すぎると需給のバランスが崩れ、周波数が変動して発電所が停止してしまうため出力制御が必要」とまとめられます。出力が安定しない再エネは主電源ではなく調整弁として使われるということですね。

また、上図IR資料でも記されているように、固定価格買取制度に代表されるように「政府の再エネ政策が変われば、売電収入も影響を受ける」ので、政策に左右されます。

ちなみに私がFIRE後にインフラファンドを売却した理由は「FIT制度がいずれは終わることを考慮して、売電収入が市況リスクにさらされる前に利益を確定しておこう」というものでした。

ポイント③:天候不順リスク

一例ながら、2024年10月は天候不順で予想対比76.5%という低調さでした。

こういう現象が起きると、売電収入の減少を通じて「分配金が減る、または取り崩し」につながるでしょうから、減配リスクが高まることになります。

予期せぬ天候にも左右されるということですね。

ポイント④:分配金が減っている

上図ご覧の通り、分配金は減っています。以前は年間7,400円が巡航水準(=特殊な要因を取り除いた通常運転での分配金水準)だったので、10%ほど減っています。

株式やリートでは増配していく銘柄もありますから、対照的ではあります。

2026年6月期にかけて年間6,600円の分配金水準の見通しが公式発表されているので、当面6,600円を巡航水準と見ておくのがよいかと思います。

まとめ

以下のようにまとめられます。

★インフラファンドのポイント

足もと8.8%と高配当である一方、以下リスクは押さえておきたい

  1. インフレに弱い
  2. 出力制限・政策による影響
  3. 天候不順
  4. 分配金は減っている

あくまで好みかとは思いますが、私ならインフラファンドに投資する場合はリスク資産のあくまで5%程度以下という分散先のひとつ程度にします。

なぜなら、政策、天候、電力需給など、収入が大きく左右される要素が多く感じられることと、世界的にデフレからインフレへの転換期を迎えた今はインフレ耐性のある資産に投資しておきたいと思うからです。

したがって、あくまで「株式を主力として、準主力にリート」としておくことで、値上がり益と配当のどちらも享受できるバランスのとれた布陣になるのでは、と思います。

ご質問ありがとうございました。回答になっていれば幸いです。

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