高額療養費制度の見直し先送りに思う「民主主義のディレンマ」

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高額療養費制度の見直し先送りに思う「民主主義のディレンマ」

【NHK】高額療養費制度の負担上限額の引き上げについて、政府は与野党からさらなる見直しを求める意見が出ていることから、ことし8月の…

この手の「人道的な要素が関連する」かつ「国民の負担増になる」という法案は民主主義において非常に難しいところだなと思います。

本来的な論法でいえば、世代間扶養の色彩が濃い高齢者医療や介護は、負担を随時見直さないと制度そのものの持続可能性が損なわれるわけですよね。

しかしそこに来て「人命軽視」という人道的な観点による「錦の御旗」を掲げて糾弾されては、国民負担増の一面もあいまって政府側はどうも悪役の色調が出てくる。加えて増税が相次いでいたタイミングも悪かったのでしょうね。

たしかに高額療養費制度の見直し案においては、高額医療の治療で苦しむ方にとって粗雑な部分があったのはたしかでしょうけども、自民党の修正案は最終的に

  1. 平均給与の増加をふまえた1割程度の上限底上げ
  2. 所得に応じた公平な負担とすべく年収区分の細分化

といった妥当と思しき内容もありました。

医療

すこし話がそれますが、日本の医療費は国民あたりの額が高く、敗戦後GHQ占領下ですっかり東洋医学や民間療法(玉石混淆の可能性は排しないが)が西洋医学への過度な傾斜的信奉に取って代わられた影響は今なお続いているように映ります。

発熱はウイルスを退治するための適性な身体調節機能であって、発熱をむりやり下げるような類の薬を飲むことは私はしませんし、抗生物質も結局は身体に耐性をつくってしまうとあっては飲まないようにしています。つまりあくまで人間本来の自然治癒能力がしっかりしている場合は薬に頼る必要はそもそもないというのが持論です。

このあたりもどうも日本では薬がやたらと信奉され、事何かあればすぐお薬に解を求める(もちろん病状によって千差万別であり十把一絡げに論じるつもりはなく、高額療養費の話とはそれますが)のもいかがなものかと思ったりします。

本論に話を戻しまして、いずれにしても医療制度というのは税金というかたちで受益者と負担者の双方がいるわけで、湯水のごとくお金が湧き出ているわけではないので、適正な負担を随時見直す姿勢自体は必要であって、「負担増」にすっかり及び腰となっている現在の政治を見ていると閉口してしまいます。

政府案を明確に支持するといった論調をしているわけではありませんが、制度持続のためには財政や物価といった情勢の変化に応じて随時見直すこと自体は必要なわけで、時にその情勢の変化次第では国民の負担が増えるのもやむなしなわけですが、民主主義の難しさが表出しているように見えます。

つまり、

  1. 国民負担増
  2. 医療分野という人命にかかわる分野における負担増

この2つの要素が重なると、不人気かつ見方によっては非人道的に解釈されがちな制度改正ゆえに、国民に迎合する、または次の選挙に勝ちたい、といった動機がはたらきだすと、制度持続可能性(=患者の受益最大化に資する)という本来の意義がそこなわれやすい性質であろうということです。

しかし国民も自分の身が一番大事でしょうから、「公益と声高に唱えられるだけの自分の経済的な余裕や、制度に関心や興味を持って自分の頭で考える人が多数派を占めないかぎり、民主主義においては大衆迎合的な政府は本来でいえば誤った政治的判断に至ってしまう」という民主主義のディレンマを図書館にて感じる今日この頃であります。

もっとも、メディアも本来傍観的におもしろおかしくワイドショー等で煽ったり単線的な批判に終始するのではなく、当事者として本質的な議論に踏み込む国民的メディアが地上波にあって然るべきですが、大衆的な既存メディアにそうした機能はBSの一部番組や新聞の論説委員による一部時評にとどまるように思います。

※なお、念のため申し添えますが、制度利用者(患者)の方々より制度持続可能性を優先すべきである、といった二元論は意図していません。

また、総務省の家計調査によると支出に占める食費の割合を示す「エンゲル係数」は昨年2024年に28.3%と1981年以来の高水準であり、生活苦でそれどころではないとの個別具体論ももちろんあるとは思います。

加えて、外国人留学生への優遇も度が過ぎている現状もありますし、出産一時金の外国人によるモラルハザードなどの諸問題をまず解決すべきだろうとは思いますし、いったいどこの国民を見て政治してるんだろうかとの国民の思いは山積していますよね。

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