ドル円決定因子として、「FF金利先物」のほうが「長期金利」より強い説は、説得的
現在、ドル円レートにおいては、以下のように説明できそうです。
短期金利先物に強い相関性
現在の米ドル円レートにおいて、米10年債利回りとドル円レートは相関性があるものの、直近はドル円レートと米10年債利回りに乖離が起きている(=10年債利回りが4%程度のいま、本来ならドル円は145円程度だが、足もと157円となっている)。
しかし10年債利回り(=長期金利)は、債券市場の需給で決定されるので、金利と為替の関係を説明するのは難しい。長期金利も金融政策見通しは反映されるので同様ではあるが、直接的に金融政策見通しを反映する「FF金利先物」のほうがドル円にとって重要(=相関性が強い)。
もっとも、ドル円レートは日米2年債利回りの差によっておおむね説明できる値動き(それもそのはずで、結局2年債はFF金利が反映されるため)となっていることから、もともと政策金利(=FF金利見通し、短期金利)でおおむね説明できます。したがって、上記内容に真新しさがあるわけではありません。
ただ、よく10年債利回りなどの長期金利によってドル円レートが説明される事例もよくあるわけで、ドル円レートの値動きを説明する際に複数の基準のようなかたちがよく見られます。そこに一石を投じる意味で、冒頭の内容は印象に残ります。
金利差以外の要因
とはいえ為替レートは、金利差でおおむね説明できる値動きではあるものの、デジタル赤字や貿易収支、対外証券投資(例:新NISA)などの実需にも影響されるため、その実額が顕著に大きくなれば金利差以外の要因も顕著になってくるものとは思います。
また繰り返しながら、日本の潜在成長率(中立金利)が低く、利上げ余地が小さいことも日米金利差の要因として挙げられます。
12日夜のCPI、13日未明のFOMCを受け、市場は利下げ1回を見込む状況となりました。
「仮に今までの傾向が続く(=日米2年債利回り差、またはFF金利見通しがドル円レート決定因子として大きい)場合、円高になったとしても限定的になる」という論理展開にはなりますが、はたしてどうでしょうか。
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8年前の記事です。この頃から金融政策と実需フローに着目していたようです。