円安局面での米国株投資、どう考えたらよいか
以下ご質問に回答しています。
題名: 円安局面での米国株投資について
メッセージ本文:
穂高様
初めまして。
いつも楽しく拝見しております。
穂高様の著書に影響を受け、2年ほど前から米国高配当株ETFに
お陰様で投資に縁のなかった私でも配当金を受け取れるようになり
現在は米国高配当株ETF(VYM,HDV,SPYD)を毎月1
新規の買付は円貨決済で行い、旧NISA利確分や配当金のドル資
以下簡単なポートフォリオです。
米国株式:500万
外貨建MMF:300万円
さてご相談の内容ですが、「最近の円安局面において、このまま円
私が投資を始めた頃は120円ほどだったドル円が現在は150円
外貨建MMFを解約することも考えましたが、外貨建MMFの利回
また、現在保有している外貨建MMFを円にして、為替差益を得つ
- 【2014】iシェアーズ 米国連続増配株 ETF
- 【2013】iシェアーズ 米国高配当株 ETF
にて積立していくことも考えているのですが、穂高様の考
以上、長文になってしまいましたが、ご教授いただけますと幸いで
よろしくお願いいたします。
こんにちは。そうですね、現在は歴史的な円安水準です。
この円安水準で外国株の購入は私もためらうところです。買うにしても「資産の大半で今の円安水準で外国株を買う」ということはしないですね。
私もかれこれ20年以上為替を見てきていますが、為替は金利差、実需、投機筋、地政学など複数の要因で動く水物ですから、トレンドの反転を見計らうことは難しいと思います。
ひとつ言えるのは、現在は歴史的な円安水準であるということです。歴史的な高値水準で金融商品を買うことは勇気が要ります。
「買うにしても、高値圏の商品は、資産の一部にとどめるのが定石」というのが私の基本的な考えです。このあたりは「果敢に攻めたいかどうか」によって正解は変わってくると思います。
外貨建てMMFをいま売るべきか
外貨建MMFを解約することも考えましたが、外貨建MMFの利回りが4.5%と、米国高配当株ETFよりも高利回りであるため、こちらを崩すのもどうなのだろうと悩んでおります。
外貨建てMMFをお持ちですね。米ドル建てMMFのことかと理解します。米短期金利が高い今、低リスクで5%程度の利回りを得られる旨味のある商品です。私ならFRBが利下げに転じて利回りが3%を割り込むぐらいまでは売らずに高金利を享受します。
円安局面で東証の米国株ETFはどうなのか
また、現在保有している外貨建MMFを円にして、為替差益を得つつ、円安局面での積立は東証ETF(【2014】iシェアーズ 米国連続増配株 ETF、【2013】iシェアーズ 米国高配当株 ETF)にて積立していくことも考えているのですが、穂高様の考えをお聞かせ願えますでしょうか。(米国株式取得時の平均為替レートは135円ほどだと思います。)
おそらく文面を見るかぎり、「東証の米国株ETFは円建てなので、為替リスクがない」と思ってらっしゃるでしょうか(そうでなければ以下2段落は飛ばしてください)。
金融商品がたとえ円建てであっても、投資対象国または地域が外貨建て経済圏であれば、見かけ上は円建てであったとしても為替変動を加味した値動きになっています。
したがって、価格表示が円建てになっているだけで、外国株ならば東証ETFでも為替リスクがあります。
さて、「米ドル建てMMFを円にして為替差益を得て、東証の米国株ETFを積み立てるのはどうか」ということですが、この投資行動は、
- 現在「低リスク、低~中リターンのMMF(米短期金利が高いので、低~中リターンとしています)」から、「ハイリスク、ハイリターンの株式」にポートフォリオを変える
- 株式は長期的には期待リターンが債券(MMF)より優れているので、長期的な視野に立って高いリスク(価格変動率)を負って、期待リターンを高める
ことを意味します。そのリスク・リターンの関係をご認識のうえであればよいかと思います。
なお、現在の米国株は、先日のFOMCや議事要旨等で年内の利下げを織り込んだ価格になっています。短期的にはその想定がはく落すれば下値余地が出てくる歴史的な高値圏に位置しています。
回答になっていましたら幸いです。
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