まず一般的に株式と債券を比較する際に、以下のような整理が可能です。
- 過去トータルリターンは株式が優位
- 値動きの安定度は債券が優位
※ここでいう債券は、「投資適格級」以上に限り、ジャンク債等は除く
以上の傾向を踏まえ、米国株と米国債券の期間別トータルリターンを比較してみましょう。
誰かが言ってたからその通りにするのではなく、あくまで個々人が自身で判断する材料になれば理想的です。
なお、本記事に用いる米国債券の参照指数は「ブルームバーグ・バークレイズ米国総合債券インデックス(Bloomberg Barclays US Aggregate Bond Index)」です。米ドル建て投資適格債券を評価するもので、AGG(米国総合債券市場 ETF)の参照指数でもあります。
米国株式、米国債券の年代別トータルリターン比較
以下4期間における米国株式と米国債券のトータルリターン(年率・累積)を比較します。(値はDow Jones・Bloombergのデータをもとに筆者算出)
・2005年~2019年(過去15年)
・2010年~2019年(過去10年)
・2014年~2019年(過去5年)
・2019年
トータルリターン比較(過去5年・10年・15年、年率)
2005-2019年 | 2010-2019年 | 2014-2019年 | 2017-2019年 | 2019年 | |
---|---|---|---|---|---|
米国株式 | 9% | 13% | 11% | 15% | 27% |
米国債券 | 4.2% | 3.8% | 3.1% | 4.0% | 8.7% |
トータルリターン比較(過去5年・10年・15年、累積)
2005-2019年 | 2010-2019年 | 2014-2019年 | 2017-2019年 | 2019年 | |
---|---|---|---|---|---|
米国株式 | 261% | 251% | 72% | 51% | 27% |
米国債券 | 84% | 44% | 16% | 13% | 9% |
トータルリターン比較(1999年~2018年、年率)
次は以下期間における米国株式と米国債券のトータルリターン(年率)を比較します。
・1999年~2018年
少し期間を短くして20年間におけるデータは以下の通りです。
1999年-2018年 | |
---|---|
米国株式 | 5.6% |
米国債券 | 4.5% |
当該期間では米国株式が年率5.6%とほかの期間に比べて低調です。
理由は、下図、同期間におけるS&P500推移をご覧の通り、「ITバブル崩壊前の高値圏内が期間の起点となっていること、そしてその後も踊り場局面が長く続いたため」と理解します。
トータルリターン比較(1950年~2015年、年率)
更に、以下期間における米国株式と米国債券のトータルリターンを比較します。
・1950年~2015年
債券は、株式より良くも悪くも、リスクとリターンが限定的であったことがわかります。
まとめ
以上、概ね多くの時間軸で米国株と米国債券を比較した際に、以下の傾向が見てとれると思います。
- 過去トータルリターンは株式が優位
- 値動きの安定度は債券が優位
自身のリスク許容度(どこまでリスクをとって、どこまでリターンを期待するのか)や年齢(≒残存投資可能期間)などをふまえ、投資対象を決めていく形ですね。
1点、債券はリスク限定的な傾向といえど、米国債券に投資する際は為替リスクが伴います。ゆえにそのリスクも避けたい場合は、個人向け国債など国内債券が一案にはなります。
ご自身の状況に合わせて投資対象やポートフォリオをデザインしていくわけですが、状況はそれぞれ異なるので必然的に「自分ならでは」のものになっていくわけです。そういう意味では楽しみながらカスタマイズしていくのも良いですよね。
ご参考になりましたら幸いです。
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