投資未経験、でも3,000万円を投資で増やしたい。適した運用方法とは
以下のご質問に回答しています。
読者
これまで投資に無縁でした。
3,000万円を投資で増やしたいです。
- 適した運用方法を教えてほしい
- 経済知識をどのように増やせばよいか
- 適した移住先も知りたい
52歳、独身女性です。
生来の虚弱さも相まり過労がきっかけで予期せず労働市場からリタイアすることになり、それからは主に家のことを担っています。
両親が35年程前に起業し、現役で長く働いてくれていたおかげでその援助にて暮らすことが出来ていました(現在も両親はアルバイト程度に労働)。
今後を考え数年前にその会社は売却、私がもう労働で収入を得るのは難しいかもしれないと今後の人生の援助としてその益を充ててくれました。
労せず少しまとまった金額を意識することになりその運用について思案しているのが現況です。
泡銭にならぬよう管理をしたいこと、あと出来れば元金の部分は減らす事なく、むしろ少し欲を言えば元金を増やせればとも思っています。
私は未婚で子供も居らず後のことはそれ程考える必要はないのかもしれませんが、
- 自分で作ったお金ではないので出来れば自分で使い切らずスライドするように次へ渡したい(甥が居ますので)、
- 元金を増やす位の気概を持っていた方が気持ち的に良いであろうこと、
- またそれが自分でこしらえた財産という満足感と安心感も生まれて心置きなく使えるだろう
と思うからです。
また、お金が働いてくれて収益を得られたという事実は両親にも安心と気持ちの余裕を生じさせてあげられると思うのです。
- 金額は3000万ほどになります。
- 家は自家保有、日常の生活費に関して大部分は収入のある両親が今も担ってくれています。
- 年金は薄給でしたし非正規の期間もありましたのであてに出来る程はありません。
- 好適と思われる運用方法はありますでしょうか?穂高様ではこのような状況に陥ることはないと思い大変失礼なのですが仮に同状況であった際にはどの様にお考えなさいますか?
- 金(gold)という話しをよく耳にします。金はまだこれからも上がるのでしょうか?
- これからの人生、投資を続けてゆく中でどの位の間隔で見直しを行うのか、また普段日常ではどういった事に目配せしておけば良いのか指標や事象など教えて頂きたいです。
- また、これからの移住先に向いていると考えられる場所はどこだと思われますか?
寒さに弱いこともあり出来れば寒さがあまり厳しい場所でないところと思っています。
一人になった時のことも考え住処等生活の基盤は食や水など生産地の近くに構えていた方が良いのではと思うようになりました。
生活費も、環境によって満足を削ぐ形ではなく僅かながらでも節約出来ることに繋がるのではという思いもあります。現在は郊外と言っても東京ですので農地も少なく家々も密集しており騒音もあり雑然としています。
労働にて稼げ、むしろ働いていないと落ち着かないというような家族の中で育ち、投資には全く無縁で生きてきました。その家族のおかげで無労になっても生きて来られたのですが、お金を運用するということには無知で、投資に目を向け始めて浅い為、知識としてほぼ皆無に等しいと思います。
文章も拙くお恥ずかしい限りです。大変お手数をおかけ致します。どうぞよろしくお願い致します。長文にて大変失礼をしております。
いつもご覧いただきありがとうございます。以下のとおり概要をまとめました。
目的
- 自分で使い切らず、甥へ渡したい
- 投資で元金を増やしたい
現状
- 家は自家保有、生活費の大部分は収入ある両親が負担
- 年金はあてにできない
- 投資に無縁
相談内容
- 元金(3,000万円)を増やしたい、好適な運用はあるか、私ならどう考えるか
- 金はまだ上がるか
- 投資を続けてゆく中でどの位の間隔で見直しを行うのか、また普段日常ではどういった事に目配せしておけば良いのか指標や事象など
- 移住に適した場所(寒さに弱い、食や水に近い、現在は東京で密集・雑然・農地少)
現状に適した運用方法
- 投資に無縁だった
- 元金を増やしたい
この2要素から、個別株投資ではなく、インデックス投資がよいかと思います。
個別株投資は
- 投資が趣味となっている人、
- 市場平均以上の成績を望む人、
- 銘柄の分析や情報収集に時間をかけてもよい人
などに適した投資対象です。
逆にインデックス投資、なかでも全世界株式に投資する場合は、世界経済や資本の成長を前提とするならば、投資知識がとぼしくとも、時間や手間をかけずに平均的な収益を望めます。
したがって、全世界株式への投資が一案です。

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)出所:交付目論見書
全世界株式とはいえ先進国で9割を占めるので、今後新興国への成長に賭けるならば、
- フロンティアマーケットETF(FM)というピカピカの新興国へ投資するETF
- 「SBI・i シェアーズ・インド株式インデックス・ファンド愛称:サクっとインド株式)」というインド投信
などが候補になるでしょう。
メンタル的に問題なければ一括投資も一案ですが、投資タイミングの分散を図りたい場合は定期つみたてです。2024年からは新NISAも始まるので、ご活用されるのがよいと思います。
現在生活費はほぼご両親が負担し、年金はあてにできないとのこと。
したがって、配当が出ない全世界株式は現状問題なき一案かと思いますが、仮に定期収入が必要になった場合は、取り崩していくことになろうかと思います。
取り崩しに抵抗あれば、高配当株ETF(米国なら「VYM」、日本なら「グローバルX MSCIスーパーディビィデンド日本株式ETF(2564)」が一案です。
金はまだ上がるか
金については、現在のような貨幣乱発(=財政赤字+金融緩和)時代には、金はポートフォリオの分散先の1つとして有力かと思います。
米国や日本など成長期を過ぎた成熟国家で、貨幣の乱発がみられます。現在の貨幣制度は金本位制と異なり、「実在する価値」ではなく「信用」に依拠しているため、貨幣の乱発が過ぎれば、貨幣価値の下落を招きやすくなります。
すると、希少性という価値が実在する金(ゴールド)の価値は相対的に上がります(=事実、金1gを得るのに、以前より多くの貨幣(円やドル)が必要)。
ただ、現在は米国の金利が高いので、利息を生まない金は相対的に魅力が低下し、価格が下がりやすい状況です。金にとって最もよい環境は、統計的に「低金利・低インフレ」でした。
この観点からは、金を買うのは、FRBが2024年に利下げに転じてからでも遅くない、といった見方ができます。
なお、歴史を総覧すると、「①国の拡大が止まる、②貧富の差が拡大する、③貨幣の乱発」が起こると、国家が衰退または滅びています(一例:ローマ帝国)。
投資を続けるなかで、目くばせしておきたい指標や情報
今後、本腰を入れて基礎から勉強なさる場合は、日本経済新聞、経済番組(ワールドビジネスサテライト、モーニングサテライトなど)を見て、わからない内容があれば、その都度主体的に調べていくことが一案かと思います。
金融の基本となる金利や、中級よりのマクロ経済指標については、以下の書籍が読みやすいかと思います。
移住に適した場所
- 寒さに弱い
- 食の生産地や水源に近い場所を希望
- 現在は東京で密集・雑然・農地少ない
とのこと。
東京近郊で言うと、湘南、それも小田原あたりは候補となりそうです。

小田原市内から見下ろす相模湾
小田原は昔から「海よし、山よし、天気よし」というキャッチフレーズがあります。前方に相模湾、背後に山地を控えます。
太平洋側気候であり、四季を通じて温暖。みかんや梅が特産であってきたことがその証左と言えそうですね。
山のふもとは湧水地がみられる傾向があります。たとえば神奈川県は、富士山と丹沢山地という大きな水源を持ち、湧き水が多い地域です。小田原市内にも複数の自然水・地下水を汲める場所があります。
南海トラフや富士山噴火などのリスクを避けたいということですので、関東や太平洋側から離れた土地になろうかと思います。
九州、特に熊本は有力かと思います。訪れたことがありますが、阿蘇山由来の水源が豊富で、
水が美味しいので食も豊か(弐乃弐というコスパ抜群の中華もあります 笑)、比較的温暖です。
人との距離の近さでいうと、鹿児島のほうが近い傾向があるかもしれません。
ほか岡山も温暖でよいですが今夏は酷暑でした。過ごしやすさで言えば夏も涼しめの沖縄ですが、離島なので人を選ぶ部分もあるかと思います。
あとは別途申し上げたとおりです。ご回答になっていれば幸いです。
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