高配当株ETF【SPYD】への集中投資を考える【分散が無難】

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高配当株ETF【SPYD】1本への集中投資を考える

SPYDへの集中投資を考えてらっしゃる方からのご質問です。

投資は、年齢・嗜好・KPIとする対象によっても変わってきますね。

今回は配当をKPIとされている40歳前後の方からのご質問です。

ご質問

はじめまして

私はアラフォーで普通のサラリーマンです。

穂高さんの出版された本を早速拝読させていただきました。
(ちなみにKindleで購入して職場の後輩には本をプレゼントしてました。)

読後さらにSPYDのみに積み立てる戦略も1つではないかという考えがより強くなりました。

私にとっての投資のKPIは配当だからです。

過去に売却益をいただいたことがありますが、一回だけキャピタルゲインの売却益をいただいてもあまり嬉しくなかったのを覚えています。

相当な資産家であればVTIやVTのみの運用に憧れるのですが、配当が少ないためその戦略は取れません。

私は今後もアメリカ一強という状況ばかりは続かないとも考えていますが、

  • 今後も人口が増え続けること
  • 広大な国土

をこれらを考えるとアメリカが大ゴケする可能性は低いと考えております。

穂高さんは著書の中でも色々な個別株やETFを組み合わせて投資をされていますが、SPYDのみに積み立てていくという投資戦略に対してどのようにお考えでしょうか

もちろん投資は自己責任であることは理解しております。

拙著につき、後輩の方にプレゼントまでしていただき、大変恐縮です。ありがとうございます。必要としている多くの方々に届けば、大変うれしく思います。

さて、投資のKPIを配当にする場合、SPYDという高配当株ETFは、選択肢にはなります。ただし、SPYD1本のみに集中投資よりは、ほかETFも混ぜた方が個人的には無難です

なお、傾向的に最も安定感が見られる高配当株ETFは、VYMです。

まず、以下ポイントをおさらいします。

  1. コロナで弱い局面みられる
  2. とはいえ直近の値動きのみ着目は避けたい
  3. 近い将来に配当を多く得たい人には選択肢

コロナで弱かったSPYD

SPYDは、コロナショックで弱かったことが直近の事象では印象的でしたね。VYM・HDVと比べても以下の通り一番弱かったです。

青:VYM赤:HDV黄:SPYD

ドローダウン率(VYM・HDV・SPYD、コロナショック時)

  1. 24.0% VYM
  2. 26.1% HDV
  3. 36.6% SPYD

コロナ前まで一番調子が良かったので、ドローダウンを算出する際にそもそもの発射台が高くなるわけですが、それを差し引いてもやや弱いです。

ここから言えることは、以下です。

  • ボラティリティが高い傾向か(その場合、購入タイミングによって、結果が大きく変わる)
  • 今後の上昇余地も応分にあると見るのかどうか

下図を見てみましょう。(2020年初来のトータルリターン)

青:VYM赤:HDV黄:SPYD

コロナにおける月次ベース下値からの足もと反発率は以下の通り。

  • 12.5%:VYM
  • 14.6%:HDV
  • 14.6%:SPYD

月次ベースで測ることに大きな意義はないので、あくまで材料の1つ程度にとらえる形が望ましいわけですが、反発はHDV・SPYDが少し大きい形。

いずれにしてもSPYDは、直近ボラティリティが高めであり、リスク許容度がある程度ある投資家の方が向いている投資対象と言えそうです。

コロナ期に値動きを見ていましたが、基本的にWTIの値動きとの相関性が高いことも特徴的でした。

直近の値動きのみ着目は一方で避けたい

さて、そのようなSPYDですが、直近弱かったからといって将来的にどうなるかは別の話です。

基本的に人間は直近の値動きに大きく心理的に左右されるがために、バブルの一因になったりもするわけですが、あくまで1つの材料として中立的に見ておく必要があると思います。セクター別でも同様です。

近い将来に配当を多く得たい人にとって、好適

SPYDの最大の特徴は、配当利回りが高配当株ETF【VYM】【HDV】と比べて高いことです。

これは、近い将来に多くの配当を得たい場合には、選択肢になります。

ご質問者さまのご年齢も考えますと、近い将来の配当を多く得たいというお気持ちもお察しします。

ほかのETFも混ぜた方が、無難です

一方、高配当にはそれなりに理由があることが多く、配当利回りのみで投資判断を下してしまうと、ハイリスクな投資対象を選好するリスクも生じます。

近い将来の配当を得たいというご希望に沿う場合、比較的安心しやすい案としては、VYMを加える案が挙げられます。

SPYDのみに比べて、ポートフォリオ全体の値動きがいくぶんマイルドになることが期待できますし、分散も図れます。SPYDは2020年7月20日時点で構成銘柄が61とVYMほど多くはありません。

SPYDは、近い将来の配当最大化は図れるものの、1本のみよりは、もう1つETFを加えた方が分散の観点からは、より無難です。

高配当株を選好する場合、VYMHDV、直近の配当をそこまで重視しない場合はVTI楽天VTIなども混ぜるのが、定石に近い形にはなります。

ただし、このあたりは、目標の配当額がある場合、分散度と配当利回りをどう天秤にかけるかにも帰着します。

そして、リスク許容度・購入タイミングで同一の投資対象であっても結果・パフォーマンスはいかようにも変わりますから、あくまで上述したものは定石・概論的性質であり、集中投資を否定するものではなきこと、念のため申し添えておきます。

ご参考になりましたら、幸いでございます。

Best wishes to everyone!

SPYD・VYMについては、以下のような記事も書いています。ご参考に供します。

【SPYD深堀】SPYDをポートフォリオのコアとする際の懸念材料とは。
今回のコロナショックで半値以下となった局面も見られた、米国高配当株ETF「SPYD」のご質問について、以下回答申し上げます。 【高配当株E...
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公開日:

コメント

  1. 井上昂宏 より:

    穂高さま
    ご丁寧に教えていただきありがとうございます。
    SPYDへの投資1本でもS&P500に上場している60社〜80社に分散できると思っていたのですがもう一本入れた方が無難なのですね。

    何れにしても私のKPIは配当金ですのでセクター分散も考えてHDVへの投資も検討していくべきかと気付かされました。

    ご指導ありがとうございます。

    • whit より:

      いつも楽しくブログ拝見させて頂いております。

      私は現在28歳 会社員 年収約450万円です。

      現在の貯蓄額は約150万程になります。

      積立NISA SBIバンガードS&P500 月約3万3千円
      投資信託 emaxis slim S&P500に月2万円
      貯蓄 月3万円
      を行なっており、手取りペースで年収の約3分の1を投資及び貯蓄にしています。

      現在の年齢も含めリスク許容度も高いと思います。
      積立NISA及び、投資信託も長期で続けていくつもりですが、インデックス投資以外にも興味があります。
      ETF、個別株含め様々な選択肢が有りますが
      リスクの高いサテライト投資にも興味があります。

      そこで質問です。
      このまま貯蓄と投資を6・4くらいの割合で進めるべきか、投資の割合を増やすべきか、更に貯蓄の100万円程度を投資に運用すべきか非常に悩んでおります。
      もちろん投資は自己責任とはわかっておりますが、まだ経験も浅く様々な情報で悩んでしまいます。
      もし宜しければアドバイス頂ければと思います。
      宜しくお願い致します。