老後の資産形成には、投資信託とETFどちらが好適か

純粋な老後の資産形成を投資目的とした場合、投資信託とETFどちらが好適か」というご質問を頂きましたので、以下回答申し上げます。

またその際、「分配金なしで再投資される投資信託における税の繰り延べ効果」を併せて検証します。

老後の資産形成には、投資信託とETFどちらが好適か

ご質問

題名: 投資信託とETFの優劣について

メッセージ本文:
お世話になります。
いつも楽しくブログを読ませていただいております。

題名から少し補足させていただくと、資産形成の観点から見た分配金再投資型の投資信託とETFの優劣についてお伺いしたく、この度連絡させていただきました。

【現状】
社会人一年目22歳女性。
現在、つみたてNISAを限度額まで活用しているが、資金に余裕があるため他の商品にも手を出してみようと考えている。

【投資目的】
配当金での生活でなく純粋に老後へ向けた資産形成

【投資期間】
定年後に売却として、40年を目安に考えている。

【質問内容】
ETFと投資信託の大きな差は信託報酬かと思うが、近頃は投資信託でも信託報酬が引き下げられてきている。(例えば、SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドは信託報酬0.0938%)
ETF売買における為替手数料や配当への課税(米国ETFの場合、二重課税)を考えると、配当金に課税されることなく再投資がなされる投資信託とETFではどちらに軍配が上がるのか?

お忙しいかとは思いますが、どうかお返事をいただければ幸いです
よろしくお願いいたします。

つみたてNISAを社会人1年目時点で既に開始済、更に今後40年を目安に老後の資産形成ということで、今後が楽しみですね。

投資信託の自動積立が好適

結論から申し上げますと、純粋に老後の資産形成目的の場合は、投資信託で十分と思います。

配当金生活やセミリタイア、生き方の選択肢を増やす場合、配当金という定常的な不労所得・キャッシュフローは大変に有用です。なので、その場合は投信ではなくETFを推します。

しかし、あくまで「老後の資産形成」という目的に限るのであれば、「投資信託の自動積立」という形で十分と思います。(SBI証券でも設定可能)

対象の投資信託は挙げて頂いているものも含め、以下3つが候補です。

▶SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド

▶eMaxis Slim S&P500

▶楽天VTI

投資対象として、米国に傾倒することを好ましく感じない方は、以下2つが候補です。

▶eMaxis Slim全世界株式

▶楽天VT

いずれも信託報酬の水準は問題ありません。

では、純粋に老後の資産形成目的の場合、投資信託を推す理由・ポイントは以下2点です。

ポイント

分配金を自分で再投資する必要(手間の観点)

ETF:あり ⇔ 投資信託:なし

分配金に対する課税(税制の観点)

ETF:あり ⇔ 投資信託:なし

※ただし、元本が多く長期にわたる投資でない限り有意な差はありません。

【ETF vs 投資信託】分配金の再投資、手動で必要か否か(手間)

ETF・投資信託の両者ともに、SBI証券で自動積立が出来ます。しかし、ETFならば、基本的に分配金を自分で再投資する必要があります。

老後の資産形成目的ならば、老後を迎えるまでの資産形成期のキャッシュフローが不要なので、再投資する前提としています。

一方、上述した投資信託は分配金が自動で再投資されます。

以上から、投資信託の方が手間がかからず楽です。

【ETF vs 投資信託】分配金への課税(税制)

分配金に対する課税については、ETFより投資信託の方が有利です。

なぜなら、ETFの分配金は、原則20.315%の源泉徴収が都度なされますが、投資信託の分配金なしでその分自動再投資される分配金は課税されないからです。

よって、「運用期間中に分配金に対して都度課税されるETF」よりも、「運用期間最終年度に利益確定の際に売却益に課税される投資信託」の方が、税の繰り延べ(先送り)効果が生じるので、有利です。

ただ、有利は有利ではあるものの、多額の元本で運用期間が長期でない限り、有意な差は生じません。

ご質問者さんの場合、投資期間が40年を目安と考えていらっしゃるようなので、その前提で以下条件の通り、投資信託による税の繰り延べ効果を試算します。

課税繰り延べ効果の試算

例)運用利回り4%、運用期間:40年、税率:20.315%

下表のような要領(ケースAの場合)で、毎年分配金に課税されるケース(…A)と、最終年度に課税されるケース(…B)の差異を検証します。

年度 1 2 3 4 5
元本 100 103 106 110 113
分配金 4.0 4.1 4.3 4.4 4.5
課税額 0.8 0.8 0.9 0.9 0.9
実現益 3.2 3.3 3.4 3.5 3.6

結果は以下の通り。

▶A:40年間でリターン 3.51倍

▶B:40年間でリターン 4.03倍

ではこのリターン差異をどう評価するかですが、元本が大きく、運用期間が長ければ、有意な差となります。

元本100万円  →  52万円の差(40年間)

元本1000万円 → 520万円の差(40年間)

たとえば20年間ですと、元本100万円の場合、8万円の差に留まります。

また、運用利回りが高ければ課税繰り延べ効果も応分に大きくなります。しかし、ごく一握りの天才でもない限り、40年間にわたって高パフォーマンスを出すことは一般的でないことから、そのようなケースは省いています。

以上から、「分配金なしで自動再投資される投資信託は、分配金を出すETFに比べて、税の繰り延べ効果の観点においては有利であり、元本が大きい場合は、有意な差異が生じる」と言えそうです。

老後の資産形成には、投資信託とETFどちらが好適か、まとめ

まとめますと、以下の通りとなります。

ポイント

分配金を自分で再投資する必要(手間の観点)

ETF:あり ⇔ 投資信託:なし

分配金に対する課税(税制の観点)

ETF:あり ⇔ 投資信託:なし

※ただし、元本が多く長期にわたる投資でない限り、有意な差なし

それにしても新卒から資産運用ということで、今後の資産形成がたのしみですね。

相場は良い時も悪い時もありますが、愚直に積み立て続けることで、その果実を享受していけるものと思います。

以上、ご参考になりましたら幸いです。

Best wishes to everyone.

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公開日:2019年12月13日