「Jリートと現物不動産投資」について、以下回答いたします。
毎日ブログを楽しみに拝見しております。
私もJ-REITを保有しているのですが、不動産市場の活況を見越して、それならば、サラリーマンという属性を活かして、直接、不動産を(フルローンで)購入して運用したらいいんじゃないかと自問自答しており、情報を集めているところです。
三菱サラリーマンさんのご意見を伺えれば幸いです。
「現物不動産」と「リート(REIT)の違い・メリット・デメリット
そもそも現物不動産の市場とはどのようなものか
現物不動産、これは場所によって程度の差はありますが、まず閉鎖的な市場も厳然とあることに留意しておいても良いと思います。
例えば田舎では、地域によっては地元の有力者が良い物件の情報を握っていて、広く知れ渡っていないケースもあります。
また、都会でも大手だからと言って、情報公開や価格形成の点で安心とは限りません。
不動産というのは流動性そのものがどうしても低い対象です。最低でも通例、数百万円~数千万円はする高額な対象物ですね。
ですから、リートや株式のように市場参加者がすぐにアクセスできる共通のプラットフォーム上で大量の売買が成立し、それほど流動性が高い性質のものではありません。
そのため、良くも悪くも情報の非対称性が起こりやすい領域と感じます。
ここでいう「情報の非対称性」というのは、両者のうち一方だけ(たとえば、買主と売主のうち一方)に情報が偏在していることです。
更に、
- 売主が売り急いでいるか否か、
- 買主が買い急いでいるか否か、
- そもそも市況と乖離した価格設定をしている、
- 仲介業者が早く売りたいがために「市況が悪くなってきているので、値下げして売り抜けた方が良いですよ」などと急き立てられ、その通りにする売主
(私も以前都内の物件を売却する際に、おすすめされましたが、値下げせずとも普通に売れました。その意味で、相手のビジネスモデルや動機は知っておくに越したことはありません)、などなど個別事情によっても値付けや売買成立価格の幅が大きくなり得ます。
不動産とは、株式に比べてオープンではありませんし、機械的に取引が成立するとは言えない面があります。
田舎であれば物件によっては、人情・コネなども要素の1つになることもあります。資金力や属性で融資の条件や成否も変わってきます。
以上述べてきた通り、この現物不動産という「特定の分野に長けている・興味がある・物件を回ること自体が好き・間取りを見ること自体も好き」というような、
- 個人の嗜好と合致するか、
- それ相応の熱意の有無、
という要素も大きく投資の成否を分かつと、私は思います。
現物不動産投資のリートとの違い、メリット・デメリット
そして、株式やREITなどのペーパーアセットと大きく異なるのが、手間ですよね。
株式やリート・債券は、一旦インターネットで注文ボタンを押せば、売買は成立します。
一方、不動産は仲介業者との折衝・やり取りや買主や売主との契約面談、オーナーとして直接種々の事務作業を行ったり管理会社に一任するなど、“ネットでクリックして終わり”というものではありません。労力は相応にかかります。
しかしもちろんメリットもあります。サラリーマンであればその信用力・属性を生かして、金融機関から融資を受けることで、多額の資金を借り入れることができ、レバレッジを利かせることができます。
そして、経済的自由度の達成を早める可能性も秘めています。こちらの手法で経済的自由をめざす方も、一方でおられますね。
これは株式やリートと異なるメリットです。減価償却費や経費を計上することで、節税も視野に入ってきます。
まとめ
以上述べてきたことを踏まえた上で、「やってみたい、やる」と思える人は、不動産投資に向いている可能性があります。
私の場合は自宅物件の精査は強い動機を持ってやれますが、不動産投資には特段の興味がないので、今後もおそらくやらないと思います。ゆえに事業所得と配当所得(を含むがこれらに限られない)の複数立てでしょうか。
自分の好きなフィールド・自分が勝てるフィールドに身を置くのが、やはり鉄則と思います。
現物不動産・リートのどちらかが優れていてどちらかが優れていないということではなく、両者ともメリットデメリットがあり、投資する当人の適性・興味が最も重要と思います。
不動産に限らず多くのことに言えることですが、興味・差し迫った必要性、のいずれかはないと、特定の分野でなにかを習得するハードルは上がりますから、そこが分水嶺と思います。
なお、先述の通り、現物不動産投資は、ペーパーアセットのように「購入すれば配当金が定期的に降りてくる」類のものではありません。
ですから、それなりに本腰を入れて取り組む必要があると思います。粘り強く物件情報を収集するのが苦でないことがひとつの必要条件でしょう。
ですから、繰り返しになりますが、そのような点に留意の上で、それでもモチベーションが高まっている方は、向いていると思います。
いずれにしても、現物の不動産というのは、株式のように「とりあえず100株だけ買ってみよう」というように軽い気持ちで買える代物ではありません。
そのため、じっくり良い物件を腰を据えて見定める覚悟、そのために相応の時間を投じる覚悟など、相応の取り組みが必要です。
ちなみに、不動産を購入する際の融資金利で、
- 「定期預金を持っている人は0.1%優遇」、
- 「投資信託を同金融機関で保有している人は0.1%優遇」
というような優遇措置がある金融機関もあるので、融資をする際には必ず該当するか確認し、優遇を取りこぼさないようにしたいところですね。
ご参考になりましたら幸いです。
Best wishes to everyone!
不動産の関連記事については、以下をご参考に供します。