配当金生活やセミリタイアをするために「配当収入という定常的なキャッシュフロー、つまり経済的基盤の1つ」を築く上で原資が必要になりますが、そのために最初はトータルリターンを追求する形も一案です。(ただし私のスタイルは高配当株への投資です)
そのトータルリターンを追求する際に、ひとつの候補になり得る銘柄がこのロリンズ【ROL】と思います。以下はそのロリンズの銘柄分析です。
【ROL】ロリンズ、業績全てが右肩上がりの害虫駆除サービス提供企業
ロリンズ(ローリンズ)【ROL】は三菱サラリーマンが継続的にウォッチしている銘柄であり、局面によっては大きく投入しても良いかなと思える米国株です。

害虫駆除サービス員(出所:ROL HP)
ROLの事業内容を端的に言うと、子会社を通じて「害虫駆除サービスを住宅地や商業区域に提供する」企業です。
具体的には住宅以外にホテル、食品製造業、小売り、運送業等の企業向けにシロアリやネズミの防除・駆除サービスに加え、蚊や野生生物への処置も対象範囲であり、芝生の管理等も請け負っています。
本社は米国で地味な業態ながらも、フランチャイズでカナダ・メキシコを含む北米、豪州、欧州、中米、カリブ、中東、アジア、地中海、アフリカにも事業を展開しているグローバル企業です。
最大の特徴は、地味かつ派手さはない業態ではあるものの、人間と自然(虫)が残存する限りこの外注の駆除・防除という業務がなくなりそうにない点に在ります。
【ROL】基礎データ
ROLの基本情報は以下の通り。
社名(和文) | ロリンズ |
社名(英文) | Rollins, Inc. |
ティッカー | ROL |
設立日 | 1948年2月 |
本社所在地 | 米国ジョージア州 |
従業員数 | 13,734人 |
セクター | 工業 |
連続増配年数 | 17年 |
配当利回り | 1.1% |
直近4年平均配当利回り | 1.1% |
直近3年平均増配率(年率) | 20.9% |
直近5年平均増配率(年率) | 18.8% |
配当月 | 3, 6, 9, 12 |
1株配当 | $0.42 |
1株調整後利益 | $0.73 |
配当性向(調整後EPSベース) | 57.5% |
PER(調整後EPSベース) | 52.6倍 |
株価 | $38.38 |
(2019/10/28時点)
低配当・高増配率です。配当性向は57%とまずまず。
調整後EPSベースでもPERは52倍と非常に高いです。今の株価は1株あたりの直近年間純利益の52倍ということです。今の利益水準と株価という前提下では、投資した資金の回収に52年かかることを示します。
ただし、これは勿論ROLという企業の将来の成長性を織り込んでいるからこそ、このPERなのでしょう。後述の業績推移を見れば得心が行きます。
【ROL】事業内容・セグメント
セグメントはただ一つ、「有害生物の防除・駆除」です。
シロアリなどの害虫を駆除・防除という非常にわかりやすい事業内容であり、それでいて需要がなくなることはまずないと思える業態です。
食物連鎖の弊害も全くないという前提下で、地球上の害虫を完全殲滅するか、全人類が地下シェルター等での生活を余儀なくされるなど相当特殊な事象が突発的に起こらない限り、事業の存続性は望めるのではないでしょうか。
【ROL】株価と配当利回り推移
ご覧の通り、株価は5年で3倍と急伸。過去の配当利回り推移としては2.8%程度を頂点に下落の一途で現在1%前後です。株価の上昇率が増配率を上回る程力強いためです。(後述しますが、特別配当は考慮していません)
2007年からの平均配当利回りは1.6%であり、低配当です。しかし増配率は後述の通り増配幅が最近になってむしろ増しています。
下図は直近5年間に絞ったものです。
直近5年間の平均配当利回りは1.29%です。2019年8月末に株価は31ドル台まで下落し、配当利回りはその際に久しぶりに直近5年間平均配当利回りの1.29%を上回りました。
結果的にその時が絶好の買い場だったということになります。こういった局面で買えれば大きなリターンが見込め、理想的です。そこから現在3割近い上昇を見せています。
【ROL】配当と配当利回り推移
株価は5年で3倍でしたが、配当は5年で2.5倍とこちらも堅調。これだけの増配率の背景には、やはり後述の通り業績の伸びがあります。
【ROL】売上高・営業利益・純利益
ROLの①売上高・②営業利益・③純利益・④営業利益率・⑤営業キャッシュフローマージンを見てみましょう。
売上高・営業利益・純利益・営業利益率・営業CFマージン、全てが右肩上がりです。
私も今まで色々な企業の業績を見てきましたが、売上高や利益だけでなく、利益率やキャッシュフローマージンまで右肩上がりなのは希少です。
ROLは現時点では買収・フランチャイズ戦略も相まって売上を伸ばしていますが、これは価格を下げて売上を伸ばしているのではなく、市場占有率を高めて利益率を高めているというのも魅力の1つです。
【ROL】キャッシュフロー推移
営業CFがほぼそのままフリーCFとなる理想的なキャッシュフローであり、マージンも上昇傾向ということで、全てが右肩上がりであります。
【ROL】増配率の推移
ROLは増配率も直近3年間はその前の3年間より堅調です。平均して20%程度の増配率を維持しています。配当性向は55%と余力はまだあります。
【ROL】配当安全性
1株あたりのフリーキャッシュフロー(FCFPS)が、1株あたりの配当(DPS)を大きく上回っていることがわかります。配当安全性も特段問題ないように見えます。
FCFPS-DPSが上昇傾向なのも良い傾向です。現時点では今後も増配に耐えうることを期待させる推移です。
【ROL】 配当落ち日・配当基準日・配当支払い日
配当支払日は概ね3・6・9・12月の初旬から中旬にかけてです。尚、同社は通例の四半期配当に加えて、特別配当も出しており、赤太字で示しています。
配当落ち日 | 配当基準日 | 配当支払日 | 1株配当 |
2/8/2019 | 2/11/2019 | 3/11/2019 | $0.1050 |
11/8/2018 | 11/9/2018 | 12/10/2018 | $0.0933 |
11/8/2018 | 11/9/2018 | 12/10/2018 | $0.0933 |
8/9/2018 | 8/10/2018 | 9/10/2018 | $0.0933 |
5/9/2018 | 5/10/2018 | 6/11/2018 | $0.0933 |
2/8/2018 | 2/9/2018 | 3/9/2018 | $0.0933 |
11/9/2017 | 11/10/2017 | 12/11/2017 | $0.0767 |
11/9/2017 | 11/10/2017 | 12/11/2017 | $0.0667 |
8/8/2017 | 8/10/2017 | 9/11/2017 | $0.0767 |
5/8/2017 | 5/10/2017 | 6/9/2017 | $0.0767 |
2/8/2017 | 2/10/2017 | 3/10/2017 | $0.0767 |
11/8/2016 | 11/10/2016 | 12/9/2016 | $0.0667 |
11/8/2016 | 11/10/2016 | 12/9/2016 | $0.0667 |
8/8/2016 | 8/10/2016 | 9/9/2016 | $0.0667 |
5/6/2016 | 5/10/2016 | 6/10/2016 | $0.0667 |
2/8/2016 | 2/10/2016 | 3/10/2016 | $0.0667 |
11/6/2015 | 11/10/2015 | 12/10/2015 | $0.0533 |
11/6/2015 | 11/10/2015 | 12/10/2015 | $0.0667 |
8/6/2015 | 8/10/2015 | 9/10/2015 | $0.0533 |
5/6/2015 | 5/8/2015 | 6/10/2015 | $0.0533 |
2/6/2015 | 2/10/2015 | 3/10/2015 | $0.0533 |
11/6/2014 | 11/10/2014 | 12/10/2014 | $0.0467 |
11/6/2014 | 11/10/2014 | 12/10/2014 | $0.0444 |
8/6/2014 | 8/8/2014 | 9/10/2014 | $0.0467 |
5/7/2014 | 5/9/2014 | 6/10/2014 | $0.0467 |
2/6/2014 | 2/10/2014 | 3/10/2014 | $0.0467 |
【ROL】トータルリターン vs S&P500
下図はROLとS&P500指数の配当再投資込みトータルリターン比較です。(1988年~2019年4月)
ご覧の通り、S&P500とあまり関係のない動きをしていることがわかります。リーマンショックなどなかったかのような推移ですね。
年率 | |
ROL | 14.8%(30年で75倍) |
S&P500 | 10.5%(30年で22倍) |
【ROL】 銘柄分析まとめ
ROLは何と言ってもその事業内容の底堅さと業績の伸長具合でしょう。主要経営指標である売上高や利益・利益率全てが右肩上がりの企業はそう多くありません。
だからこそPER52倍という値付けになっているのでしょう。PERだけで見ると非常に割高ですが、今の株価水準・伸長具合もこの業績の伸びであれば、ある程度うなずけます。
害虫駆除は好不況関係なく行われる作業と言えるでしょうし、人と自然が共存していく限りは消すに消せない業務です。
ですから業務自体の需要がなくなることは特殊な状況を除いてまず考えにくいですね。だからこその人気銘柄と言えます。
ただし売上高や利益率のいずれか、あるいはどちらも頭打ちとなった場合に、大きくPER・株価が修正されるリスクは常に存在します。
そのリスクとどう向き合い、今後の成長性にどれだけBETするのかが、ROLに投資するか否か、あるいはその投資額を決める大きなファクターとなりそうですね。
三菱サラリーマン的には買い目線でウォッチしたいと思います。
ご参考になりましたら幸いです。
Best wishes to everyone!
同様に高増配企業として、MSCIがあります。これもなかなか押し目が訪れない典型的な高成長優良企業です。
ファクトセット【FDS】も、ROL同様に高成長でPERが高い企業です。日本経済新聞のデータ出所としてもよく目にする企業だと思います。