【SO】米電力大手サザンの買い増しはちょっとストップか
三菱サラリーマンも保有している米電力大手サザン【SO】に関しては、買い増し候補としては他の銘柄より現時点では少し劣後します。
サザンのキャッシュフローを確認
まず、下表を見てみましょう。以下は2018年の同社Form 10kからのデータです。
2018年における調整後EPSは3.07ドルで前年から順調に増加、1株あたりの配当であるDPSの2.38ドルを上回っています。まずはOK。しかし、1株あたりのフリーキャッシュフローであるFCFPSは-1.22ドルとマイナスです。
調整後EPS・FCFPS共にDPSを上回っていれば、配当の持続性としてはひとまず必要条件の1つ(あくまで1つ)を満たし得るわけですが、サザンはこれがまず満たされていないのが好ましいとは言い難い点として浮上。
そして、買い増しを躊躇する要因でもあります。ただ、原子力発電所など箱物を固定資産として保有する業態上、投資キャッシュフローがかさんでしまうのはある程度仕方ない部分があるのも事実です。
そして、以下も2018年のForm 10kから集計したサザンのキャッシュフロー詳細データ(単位は10億ドル)ですが、
営業活動で得た69.5億ドルを上回る額である80億ドルが固定資産取得に費やされ、株式新規発行で10.9億ドル調達し、借入金を18.1億ドル返済し、24億ドルの配当が支払われています。フリーキャッシュフローは先述の通り赤字です。
債務返済は安心材料も、一方で自社株買いとは反対に株式発行による資金調達がなされている模様。
そして更に下表を見てみましょう。これを見ると一定の合点がいきます。(右軸単位:百万ドル)
特筆すべきは、2014年からフリーキャッシュフローが5年連続マイナスとなっており、それに追随するように財務レバレッジ・DEレシオが上昇しています。これはちょっと気になります。
財務レバレッジは総資産を自己資本で除した値であり、DEレシオはその名の通り、有利子負債を自己資本で除したものです。
つまり自己資本に対して有利子負債や資産が増えていることを示し、財務状況としては悪化していることになります。(ただ、この2つのデータだけを以て一概に悪いとは言えません。例えば、その資産や負債によるレバレッジで将来キャッシュフローを生むのであれば話は別です)
例えば、同業大手のデューク・エナジー【DUK】の財務レバレッジ・DEレシオは2018年決算時点で各々3.32・1.17とサザンの方が50%程値が高く、財務状況としてはDUKより良いとは言えません。
もちろん、レバレッジがかかること自体は悪いことではなく、その方がROEという株主資本の効率自体が高まる要因にはなり得ますが、フリーキャッシュフローが赤字な中、DEレシオや財務レバレッジが上昇しているのは個人的には少し気になるところ。
ただ、先述の通り基本的には電力会社の性質上、設備投資など固定支出が多いため、フリーキャッシュフローは赤字になりやすいのは事実。実際に、デューク・エナジー【DUK】やドミニオン・エナジー【D】も直近数年はFCFが赤字の年がいくつかあります。
あとは、電力大手の中でも原発を持っている会社は、サザンの例のボーグル原発の工期遅延に代表される原発リスクですね。
とはいえ、同社は過去70年間減配なし・17年連続増配という偉業を成し遂げており、2019年の業績見通しは長期的に4~6%の成長を見込んでおり、更に配当は0.08ドル増配予定です。
よって当面は過度に心配する必要はなさそうではありますが、ちょっとキャッシュフローの観点からはこれ以上サザンへの買い増しは控えようかなというところ。
ご参考になりましたら幸いです。
Best wishes to everyone!
サザン・カンパニーについては、その後、以下記事にて特徴を詳述しています。