低リスク運用なら、AGG・BNDなどの債券ETFを活用
ツイッターのフォロワーの方から、peing(ツイッター内にリンク先があります)経由で質問を頂きましたので、以下の点につき、述べます。
- 投資初心者が低リスクで運用しやすい投資対象
(初心者とかのたまうのは大変おこがましいですが‥)
質問内容は以下の通りです。
2000万円の現金を投資したいと考えている初心者です。
少額で投資信託は1年ほどしているのですが、初心者がローリスクで運用していくベストな投資は何でしょうか?
また個別相談などのサービスは考えていらっしゃいますか?サービスがあればご相談させて頂きたいです。
個別相談のサービスについても、弊ブログのお問い合わせフォームからご連絡頂ければお返事しますので遠慮なくお問い合わせください。
結論から申し上げますと、初心者が低リスクで運用したいということであれば、債券ETFが一案として挙げられます。ただし後述の通りリターンは限定的ですし、インフレリスク・為替リスクに注意が必要です。
具体的には以下2つのETFが挙げられます。
- 【AGG】iシェアーズ・コア 米国総合債券市場 ETF
- 【BND】バンガード米国トータル債券市場ETF
両者ともに金融商品としての性格はほぼ同じなので、今回はAGGに限って紹介します。
【AGG】とは?
AGG(iシェアーズ・コア米国総合債券市場ETF)とは、米国投資適格債券市場全般を表す指数に連動した金融商品です。
つまりジャンク債などの投機的水準の債券を除いたもの。
要は比較的リスクの低い債券に分散して投資している金融商品ということです。
【AGG】組み入れ銘柄
当該ETFに組み入れられている債券の発行体と保有比率は以下の通り、見てみましょう。
発行体 | 保有比率(%) | |
米財務省 |
UNITED STATES TREASURY |
38.4 |
連邦住宅抵当公庫 | FEDERAL NATIONAL MORTGAGE ASSOCIATION | 13.29 |
連邦政府抵当金庫 | GOVERNMENT NATIONAL MORTGAGE ASSOCIATION II | 7.41 |
連邦住宅金融抵当公庫 | FEDERAL HOME LOAN MORTGAGE CORPORATION -GOLD | 5.44 |
連邦住宅金融抵当公庫 | FEDERAL HOME LOAN MORTGAGE CORPORATION | 2.47 |
JPMORGAN CHASE & CO | 0.54 | |
ドイツ復興金融公庫 | KFW | 0.51 |
BANK OF AMERICA CORP | 0.48 | |
GOLDMAN SACHS GROUP INC/THE | 0.47 | |
AT&T INC | 0.44 |
組み入れ1位
保有比率38.4%の債券発行体は米財務省。
TREASURY NOTEと呼ばれる米財務省中期証券(=米国政府が発行する償還期限が2年以上10年以下の利付債の総称)です。
要は、中期の米国債ですね。
組み入れ2位
連邦住宅抵当金庫。通称ファニーメイと呼ばれる1968年に民営化された元政府系金融機関です。金融機関の住宅ローン債権を保証するのが主業で、日本の住宅供給公社のように国民に住宅を持たせる国策に沿って設立されたものです。
組み入れ3位
連邦政府抵当金庫。通称フレディマックで、ファニーメイと同様の業態です。
両金庫ともにリーマンショックで経営危機に陥った際に国有化されたことで耳にした方も多いのはないでしょうか。
つまり、当該ETFの組み入れ債券の過半は国債や政府系金融機関の債券ということですから、信用力が高位の投資適格債券というのもうなずけますよね。
【AGG】株価推移
2003年から2018年の過去16年間にわたる値動きは概ね90ドル~110ドルの間で推移しており、その値幅は上下±10%。
特筆すべきは、リーマンショックという金融危機時の下落幅は10%に留まり、その後短期的に値を戻しています。
ということで、ETF自体の値動きは非常に緩やかです。ただし気を付けるべきは為替リスクやインフレリスクでしょう。
【AGG】分配利回り
毎月分配型で分配金利回りは2.63%(2018年7月18日時点)。
米国ETFは配当の二重課税がありますから、税引後の手取りの分配金利回りは0.72を乗じて約1.9%です。
仮に5000万円をAGGに投じると、毎月8万円の分配金が口座に振り込まれることになります。
【AGG】トータルリターン
それでは、そんな信用力が高く、低リスクで、値動きの緩やかな、国債や公社債に近いものに分散投資できる当該ETFのトータルリターンを見てみましょう。
- 3年 : 5.04%
- 5年 :11.68%
- 10年 :42.43%
トータルリターンは、税引前分配金を再投資したものとして算出した値ですので、厳密には税金分これよりリターンは下がります。
とはいえ、ざっくり10年で40%程度のリターンが見込めます。
先述の通り、過去16年間で値幅は20%程度。そして、10年で40%程度のリターンが見込まれます。従って長期では勝てる確率が非常に高いETFと言えます。
ただ、リスクが低い分、デメリットも当然あり、債券は伝統的に株式よりリターンが劣後しますから、リスクが低い分リターンは当然限定的です。
しかし、そういったかなり堅実かつ保守的な運用をしたい方なら、一案となるETFと思います。虎の子の資金、あるいは減らしたくない資金などを運用する際に向いている投資対象です。
ただし、為替リスクは存在しますし、理論的には長期金利が高いと債券価格は下がりますから、利上げ時期を終えるあたりで投資し始めるにはよいでしょう。逆に言えば、利上げが予想される局面ではおすすめしません。
また、あくまで米国という国家的な信用や米ドルという基軸通貨が継続することが前提となります。これらの大前提が崩れれば、大幅なドル安と債券価格の下落が予想されるため、これらのリスクは認識しておいた方がよいと思います。
ご参考になれば幸いです。
Best wishes to everyone!
30代の方向けの記事です。こちらもETFへの投資により、60歳で月10万円を得る方法論になります。
昨今、中国の台頭ぶりが際立ちます。日本の相対的な特長は、政府部門ではなく個人部門の家計金融資産の多さです。その観点のみを考えた場合には、眠らせておくのはもったいないのではないでしょうか。