【米国株】資産バブルが起きる3つの条件とは?

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資産バブルの3つの条件が徐々に満たされつつある

ソニーフィナンシャルホールディングス・チーフエコノミストの菅野氏によれば、資産バブルが醸成される3条件は以下の通りと述べています。

  1. 金融緩和の長期化
  2. 規制緩和や技術革新による実体経済面の変化
  3. 市場での楽観論の広まり

1.金融緩和の長期化

欧米の中央銀行であるFRB(米連邦準備理事会)やECBの金融政策はようやく正常化の端緒にこぎつけた形であり、先頭を走る米国の実質短期金利は依然としてマイナス圏にあります。つまり、緩和的な状況であることに変わりはありません。

上図はドットチャートです。

ドットチャートとは、FOMC参加者による将来の政策金利(FFレート)見通しの分布図を示したものです。2017年のところを見ると、1.25~1.50の間にドットが11個あります。つまり、11人のFOMC参加者が2017年内に政策金利が1.25~1.50%になると予想しているということです。現在の政策金利は1.00~1.25%ですから、年内に0.25%引き上げられることが想定されます。

FRB自身が金利の大幅な上昇は見込んでおらず、FOMC(米連邦公開市場委員会)の参加者が予想する金利水準が実現しても、18年末の米国の実質政策金利はゼロ近傍です。

次期FRB議長の候補であるテイラー氏は、利上げ急進派とのスタンスでしたが、最近のインタビューでは、コメントはマイルドになってきています。テイラー氏が実際に次期FRB議長になったとしても、FFレートの急伸というのは考えにくい状況となってきています。

日銀は2013年4月から金融緩和を開始して以降、国債・社債・ETFなどの資産買入れを通じてバランスシートの拡大にひた走っており、未だ金融政策の正常化、つまり資産買入れ縮小時期が見通せない状況です。とはいえイールドカーブコントロールと名前を変えて買い入れ額は減らしやすくなっています。中央銀行の主たる伝統的役割は物価の安定である以上、物価目標を掲げた日銀はECB同様にテーパリングを”大々的に”は開始できずにいます。

FRBやECBはその言動に気を付けながらも急激に利上げを行わず、緩やかに慎重に金融引き締めに動いていき、日銀は以前大規模緩和中ということで、日米欧ともに引き続き緩和的と言えるでしょう。

低迷する各国の潜在成長率

17年のOECD加盟国平均潜在成長率は1.5%と、リーマン前の2.1%から低下。GDPの内訳を占める設備投資が伸びていません。IT産業は重厚長大な伝統的な産業とは異なり、多額の設備投資を必要としない為、GDPの数値に現れにくくなってきています。

世界の潜在成長率は低迷が続き、生産性の伸びもリーマンショック以降更に落ち込んでおり、GDPという指標で測ると、以前のような数字上の伸びが期待しにくい状況となってきています。IT化・デジタル化が根本的に経済構造の変革を促しているかのようです。

世界的に賃金の伸びが鈍化し、インフレ率も低迷し、なんだか経済は新たな局面に入ってきているように思えてなりません。

とはいえ、ウォール街の賞与が1,600万、アメリカの貯蓄率が3%台に低下などなどいつぞやのリーマン前の様相を呈する部分もありますが、中銀が緩和的である以上、引き続き市場は好調さを維持しそうです。

2.規制緩和や技術革新による実体経済面の変化

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技術革新、これはIT産業をおいてほかにないでしょう。

米国株でいえばフェイスブックやグーグル、アマゾン、マイクロソフトなどがS&P500を牽引し、他の産業を圧倒するパフォーマンスや増益を見せています。

世界経済の緩やかな拡大、そしてIT産業の絶好調ぶりが市場の楽観論を加速させるという資産バブルの3条件の3つめをも同時に満たす可能性があります。

世界の企業においても、勝者総取り的な色彩がこれからより色濃く出てくるかもしれません。労働者という観点でも、一部のエンジニアなどが高給を謳歌し、大半の単純労働者は低賃金を甘受せざるを得ないような二極化が更に進むかもしれません。

日本の大企業も以前は高給取りのオジサンを海外駐在員としてかこっておく余裕がありましたが、徐々に統廃合が進み、そういう余裕がなくなってきているのを目の当たりにしています。

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今後は財産所得、つまり株式や債券から受け取る利子・配当金が世帯家計を潤すというより、それがないとジリ貧に陥ってしまう、という色彩も帯びてくるかもしれません。いずれにせよ、収入の複線化などで自己防衛を積極的に個人で図っていくという重要性は今後ますます増していくでしょう。

危機感は常に頭の片隅に置きつつ、冷静に個々の判断を下していきたいところです。


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公開日:2017年11月1日