映画『ウォーフェア 戦地最前線』が教えてくれる「日常」という資産

「麻痺」していく感覚をリセットする。苛烈な戦場描写の先に見えるもの

東京ミッドタウン日比谷にて

『ウォーフェア 戦地最前線』、観てよかった映画でした。

もっとも、イラク戦争の再現作品ゆえ、苛烈な描写が続くことも申し添えておきます。

出所:TOHOシネマズ

「実際にこの戦闘に参加したメンバーの記憶にのみ基づく作品」との由。

映画を定期的に観る意義とは

「日常の尊さを思い出させてくれること」に在ると思います。

PERFECT DAYS』のように平和で穏やかな日常を描く映画作品はどことなく稀で、むしろ世界のどこかで起きた凄絶な事象や、想像力を掻き立てる内容が描かれます。

対して平和な日本で日々を過ごしていると、つい「私たちは客観的に見てどれだけ恵まれているのか」を忘れそうになります。

人間は(良く言えば)何事にも順応できるように、(悪く言えば)何事にも麻痺するように設計されていると言えるはずです。映画を観ると、その偏った軸を真ん中に引き戻す引力がはたらくように感じるのです。

たとえば映画を見終わると、自身の発言においてもっと違う言い方があったな、などと思い至ります。

なぜそう思うのでしょう。おそらく、映画を咀嚼する際に思慮をともなうことで、自身の言動に思慮分別が添えられていたかも考えるからだと思います。

凄絶な情景

本作は苛烈で凄絶な情景が描かれます。

対して私たちが生きる日常はどうでしょうか。まず間違いなく大多数の人々は、本作で描かれる情景より穏やかなはずです。

その落差が大きいほど、ふと我に返るわけです。陳腐な表現ながら「日本に生まれることがどれだけ幸運なことか」ということに。

目を転じれば、世界のどこかでは、不条理に満ちたことが起きています。それはたとえかの超大国であっても。国のトップが専制的に戦争を始めようが、先ず犠牲になるのは得てして一兵卒ですよね。戦争は不条理の極致と言えます。

どのような動機で入隊するのかは個々人で様々でしょうが、少なくともみずから命の危険をさらす決断をした人々(=自衛隊など)が、時に捨て駒のような帰結を迎えることさえあると。

本人はもとい、命を懸けてお腹を痛めて産んだ子がかような運命をたどれば、親御はどんな気持ちになるのでしょう。

そんな想念さえ駆け抜けるような作品でした。

そして冒頭の通り、日常の尊さを思い出させてくれる作品でもありました。

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