投資家が株価暴落後に意識したいこと
経験年数を誇る意図はありませんが、かれこれ21年も相場にいますと、相場経験や失敗談には事欠きません(笑)
株価暴落後に意識したいこと
- 近視眼的にならない
- V字回復になるとはかぎらない
- 自律反発後の反落と目安を想定しておく
① 近視眼的にならない
日経平均が4,000円下がったり、今朝の先物時点で2,000円の上昇が見込まれたりと、投資家心理が揺らぐことで大商いとなることで、暴落時や暴落後は値幅が大きくなってきます。
すると、投資家は目先の値動きに振られやすくなります。暴騰したら飛びつき買い、暴落したらろうばい売りでは資産だけでなくメンタルも消耗しますよね。
したがって、より大局的に見ることが望ましいと思います。
たとえば、今回の暴落は単に「日銀の利上げが」直接的な原因というよりは、
- 根底には日米両政府の債務危機が潜在的にあり、
- さらには米ハイテク株の一極集中を背景に投資家の強欲と「いつかは下落する」という恐怖が共存する中、景気減速やNVIDIAのチップ製造遅延などの悪材料をきっかけに恐怖心が優勢となり、
- 「日銀の利上げ+米FRBの利下げ」が整ったことで、円キャリートレードの巻き戻しと格好の日本株売り材料になった
といった複合的な本丸があると思います。
そして現行資本主義の継続を前提とするならば、いずれは株価が戻るとの目算のもと、目先の株価の動きに振られず、慎重に買っていく姿勢が望ましいと思います。
② V字回復になるとはかぎらない
8月5日の日経平均の暴落は、大商いをともなったことから「セリングクライマックス(売り一巡後に反発を控える状態)」となった可能性は否定できませんが、
- 日米の債務危機は解決されていない(というかどう解決されるのかもわからない問題)
- 米景気減速の懸念は依然ある(例:米家計の負債残高は過去最高)
- 金と原油が下落(=リスクオフ継続)
など、一夜にして解決されたわけではなく、市場が何をどう材料視するかによって株価が決まるかと思います。
債務危機は以前からずっとあったわけですが、冒頭のように①~③と複合的になると、悲観が増幅されるように思います。
今後も市場が債務危機や景気減速によるさらなる連鎖的な不透明感を仮に材料視するならば、上値は重くなる可能性があります。
これは「予想」というよりは「想定」です。相場は常に不透明なので「こうなるだろう」と決めてかかるのではなく、「こういうシナリオもあるよね」と念頭に置くかたちです。
③ 自律反発後の反落と目安を想定しておく
暴落というのは、一方的にずっと落ち続けるのではなく、必ずどこかで反発を挟みます。まさに自律的な反発なので自律反発とも呼ばれます。
今回であれば、39,100円→31,458円の値幅で言えば、フィボナッチ38.2%戻しに相当する34,300円あたりがテクニカル的な反発目安。
いったんここまで戻しても、そこからまた本格的な下落に向かうことも頭に入れておきたいと思います。
繰り返しながらこれは「予想」ではなく「可能性の想定」です。
まとめ
- 近視眼的にならない
- V字回復になるとはかぎらない
- 自律反発後の反落と目安を想定しておく
繰り返しながら相場で絶対に避けるべきは、致命傷かと思います。したがって常にリスクをとりすぎないことが肝要になってきます。
ということは、本記事のように保守的な想定を立てておくことも重要になってくると思います。
一方で、株式市場の歴史を振り返れば、こうした暴落時に株式を買っておくことで中長期的には投資収益の源泉となってきたことも事実です。
したがって、さらなる下落の可能性も念頭に置きつつ、将来への種まき(=慎重に買いを入れていく)という「両にらみ」でどちらに転んでもよいようにしておくことがやはり基本的な要諦になってくるかと思います。
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