三菱地所の決算説明雑感
注目株の一つである三菱地所の決算雑感です。
地所は丸の内という特権的エリアにおける手堅いオフィスビル賃料を柱に、海外不動産、アウトレット、住宅、ホテル、投資ファンドなどの事業をやっています。
地所の牙城である丸の内エリアは、2004年に容積率が緩和(1,000% → 1,300%)されたことで、再開発がしやすくなっていますね。
国内ではザ・パークハウスという高級志向の分譲マンション、パークハウス系のハイグレードホテル事業、プレミアムアウトレットなどアウトレット事業。海外では欧米・アジアで住宅とオフィスビル。
投資ファンドは運用資産残高に応じて手数料をもらうというストック型ビジネス。手数料による利益は80億円と足もとは小規模。
地所は丸の内でのオフィスビル事業というイメージがありがちですが、実はこんな感じでいろいろやっていますね。
丸の内は、日本橋・品川・渋谷などほか都心オフィス圏と比べて圧倒的なブランド価値と集積があるため、その地位はなかなか揺るがなさそうです。丸の内って取引先と会いやすいんですよね。
空室率は大幅に低下
コロナ禍で一時的にほかオフィス圏よりオフィスビル空室率が微妙に高まりましたが、足もとは良化。基本的に丸の内はその他地域より空室率が低い傾向。
売上高1.4兆のうち、丸の内オフィスビル事業で2,600億円。およそ全体の2割。丸の内の収益基盤を背景に、ほか事業へも投資といったところでしょうか。
日銀の金融引き締め転換が最大のリスクか
リスクはやはり、日銀の利上げでしょう。金融緩和によって不動産価格は追い風を受けてきたので、反対に引き締めれば不動産価格には向かい風です。
大きな含み益、株価は超割安
近年の不動産価格上昇により保有不動産の含み益が拡大しており、含み益を加味した修正BPSは4,167円。現在の株価1,650円の2.5倍です。したがって現在の株価は超割安といえます。
ただし不動産価格が大きく下がれば、含み益も縮小するため、あくまで「現在の不動産価格の水準では株価が超割安」ということになります。
有利子負債は多いが、金利上昇の影響は軽微
日銀が利上げをした場合、まず短期金利が上昇します。
有利子負債2.8兆円ありますが、ほぼ固定金利なので、支払利息が急増することは考えにくく、ただちに急激な財務悪化は考えにくいですね。ただし、新規借入や起債は一定の影響は受けるでしょうね。
株主還元:手堅い
よくいえば手堅く、わるく言えば地味?、といったところでしょうか。
配当は地味ながら少しずつ増配。配当と自社株買いをあわせた総還元割合は6割弱。とても地所らしく、手堅い印象です(笑)
成長する利益、低迷する株価
利益は拡大傾向にもかかわらず、株価はパッとしません。
コロナ前回復まであと20%なので、JR東日本や小田急、JALなどと同じような感じではあります。ただし、同業の三井と比べると株価はやや弱いですね。
日銀の金融政策変更や首都直下型地震などがリスク要因として挙げられますが、含み益を加味したPBRでは超割安という状況。この株価は興味深い水準です。
本記事は元三菱サラリーマン(トン)による三菱(豚舎)愛?がメガネを曇らせている可能性があります。あらかじめご承知おきください。