世界的な金利上昇圧力と高配当株の下落
低位安定していた金利が世界的に上昇傾向にあります。
日米欧ともに景気拡大局面は持続しており、緩和的な金融政策の転換が意識され始めています。特に日本は、1月9日に1回あたりの国債買い入れ額を従前より減らすと、早速翌日には日本の長期金利が2か月ぶりの水準に上昇、為替も円高方向へ。
米国でも、米国債の最大保有国である中国が米国債の購入を減らすとの言説から米長期金利も上昇してました。債券王のガンドラック氏は「長期金利が2.63%を超えると上昇が加速する」とも言及。
長期金利が上昇すれば、株式に投資せずとも基本的にはリスクフリーである国債の利回りが増すことと同義ですから、債券投資妙味が増します。
総体的に高配当株の利回り面での妙味が薄れますから、高配当株からのある程度の資金逃避が起こり、債券に流入することも起こり得ます。
一方、そもそもこの金利上昇が長続きするかは不透明であり、物価上昇がイマイチであれば、金利上昇圧力も和らぐでしょう。
高配当電力株の下落は鮮明
特に公益セクター・高配当電力株の以下銘柄群は直近の下落傾向が鮮明です。直近の配当利回りも付記します。
- 【ED】コンソリデーテッド・エジソン 配当3.5%
- 【D】ドミニオン・エナジー 配当4.0%
- 【DUK】デューク・エナジー 配当4.5%
- 【PPL】ピーピーエルコーポレーション 配当5.1%
- 【SO】サザン 配当5.1%
特にサザンは過去の配当利回りの上限が5.1%程度なので、まさに投資妙味が増しているともいえます。
ただサザンの場合、背景にはウエスチングハウス(WH)の経営破綻関連問題もあります。
サザンがジョージア州のボーグル(Vogtle)原発2基の建設を発注していましたが、ウエスティングハウスが連邦破産法11章を申請したことにより、サザンは追加コストと工期遅延に見舞われていました。
一方、東芝は先日、ウエスチングハウス(WH)のチャプター11(連邦破産法11章)申請に伴う親会社保証で、サザン電力に対する責任上限額36億8,000万ドル(4,123億円)のうち、履行分を除く32億2,500万ドル(3,614億円)を一括で支払ったと発表し、とりあえず債務保証自体は行われた格好です。
ただ、地元住民との訴訟リスクもあるとされており、その辺も現在の軟調さに織り込まれているかもしれません。
電力5銘柄の株価推移(6か月)
各銘柄の株価推移は以下の通りです。
買い増し候補はサザン(SO)か
コンソリデーテッド・エジソンは連続増配44年の堂々たる配当貴族と魅力的な実績を誇りますが、3.5%の配当は少し物足りない。
配当利回りが5%を超えるPPL(ピーピーエル)かSO(サザン)のどちらかを新規購入したいところ。
増配率の観点からはSOに軍配が上がります。
SOの過去10年間増配率は3.7%であり、対してPPLは3.4%。
SOはAGLの買収により、今後も潜在的なEPSは3~4%の成長が期待できるとされていますから、同社に悲観的な今、購入するのは一案と言えるでしょう。
Best wishes to everyone!
電力株は、NGG(ナショナルグリッド/英ADR)とDUK(デュークエナジー/米)、華能国際電力(中)の3社を保有しています。
コメント
いつもブログを楽しく読ませて頂いています。三菱さんは電力株としては華能国際電力も所有されていたのではありませんか?
おっと、そうでした‥!!笑
これはうっかり。
ありがとうございます。追記しておきます^ ^