【IBM】2017年3Q決算概要
IBMはEPS・売上高ともに市場予想を上回り、株価は一時前日比14.11ドル(9.6%)高の160.65ドルと4月下旬以来の高値を付けました。
売上高は22四半期連続減収となったものの、7~9月期の売上高は191億5300万ドル(約2兆1400億円)と前年同期比の減少幅は0.4%にとどまりました。
しかし、売上高の減少幅縮小の立役者は大型コンピュータのメインフレームの好調さであり、大きな成長が見込めない分野です。
以前も減収幅縮小後に拡大したことを踏まえると、予断は許しません。
【株主還元】フリーキャッシュフロー・配当・自社株買い
2017年7-9月期(3Q)決算、及び直近12ヶ月における、キャッシュ状況は下表の通り。
引き続き25億ドルにも及ぶ潤沢なフリーキャッシュフローを原資に、配当と自社株買い合わせて23億ドルという株主還元を実施しています。
現金残高は115億ドルと日本円にして1兆2,000億円を超える額を保有していることになります。
EPS(17年3Q / 16年3Q)
2017年3QのEPSは2.92ドルでした。
2016年3QのEPSは2.98ドルなので、GAAPベースでは前年同期比で若干下振れています。
EPS(17年1Q-3Q / 16年1Q-3Q)
従いまして、1Q〜3Qの累計EPSは下記の通りです。
- 2017年1Q~3Qまでの累計EPS:7.24ドル
- 2016年1Q~3Qまでの累計EPS:7.67ドル
2017年1-9月期(1Q-3Q)の累計EPSは前年比で下回っています。
EPSガイダンス(17年通期)
通年EPSのガイダンスは2Qから据え置きで$13.80(GAAPベース)、$11.95(non GAAPベース)のまま変更ありません。
売上高(17年3Q / 16年3Q)
2017年7-9月期(3Q)売上高は前年同期比でほぼ変わらず、192億ドルでした。
一方、戦略的必須事業もクラウド事業も売上高ベースで共に前年同期を上回っています。
更に、IBMがStrategic Imperatives(戦略的必須事業)と位置付ける、クラウド・ビッグデータ分析・モバイル・ソーシャルネットワーク・セキュリティ事業が売上高全体の45%を占めるようになっています。
尚、ワトソン(Watson)事業が含まれるセグメントであるコグニティブソリューション(Cognitive Solutions)は44億ドルと前年同期を4%上回る結果となりました。
売上高(17年1Q-3Q / 16年1Q-3Q)
2017年1-9月期における累計売上高は以下の通りで、前年同期を引き続き下回っています。
- 2017年1Q~3Qまでの累計売上高:566億ドル
- 2016年1Q~3Qまでの累計売上高:581億ドル
株価
株価は本決算を好感し、前日比+8.86%の159.53ドルと大幅上昇となっています。
【IBM】1株あたりの純利益(EPS)と1株あたりの配当(DPS)推移
2000年以降のEPS(1株当たりの純利益)とDPS(1株あたりの配当)は上記グラフの通りです。2017年の値は3Qまでの累計値です。
連続増配年数は22年。
2017年3Q時点において、依然としてEPSはDPSを上回っています。
引き続き同社の株式は保有予定です。
米国会社四季報 2017年秋冬号 2017年 10/18 号 [雑誌]: 週刊東洋経済 増刊
Best wishes to everyone!
日経平均が29年ぶり13連騰を記録するなど、相場は徐々に熱を帯びています。
ただ、物価上昇率は2%に満たず、FRBの利上げペースは緩慢で、2018年は1回程度の利上げに留まるとも見込まれています。引き続きマネーは緩和気味。
利上げペースが緩慢ということはドル高や債券利回り上昇ペースも緩慢になり、新興国のドル建て債務の多さも表面化しにくいということです。