「住宅ローンを繰り上げ返済すべきか」を考えるポイント

「お金の相談会」で以下のようなご質問がありました。
以下のような状況ですが、ポイントはシンプルです。下段に示します。
- 資産
年金系:5,000万
株式・投資信託:2,300万 - 住宅ローン:2,600万 あと5年で住宅ローン減税終了
- 利率:10年金利固定 0.75%
その後は相場に0.5%上乗せし変動・固定を選択可
ローン減税終了後は残15年・残金1,900万円
ポイント
- 住宅ローン利率 > 株式等の運用で想定する収益率
→ 繰り上げ返済 - 住宅ローン利率 < 株式等の運用で想定する収益率
→ 繰り上げ返済せず、資産運用に回す
住宅ローン利率をどう想定するか
では、住宅ローン利率をどのように想定すればよいでしょうか。
日本の場合は、2%を超えることは通常では考えにくいと現状想定しています。
なぜなら、住宅ローン利率の基準ともなる政策金利は、通例中立金利(景気を熱さず冷やさずの金利:日銀による過去想定はせいぜい1%程度)をもとに決定されるからです。
補足:日本の潜在成長率(中立金利)について
『わが国の潜在成長率を、一定の手法で推計すると、足もとでは「0%台前半」と計算される(出所:経済・物価情勢の展望 2023年7月)』と日銀が記したように、日本の潜在成長率(中立金利:経済を熱さず冷やさずの金利)はせいぜい1%未満と考えられます。
ちなみに、現在多くのエコノミストは中立金利を1〜1.5%程度と見ています。したがって上乗せを勘案しても「住宅ローン利率は将来的に2%超は通例想定しにくい(が、上振れストレスにも備えるのが安全ではある)」といった塩梅かと思います。
株式の期待収益率をどう考えるか
これは運用の巧拙によるため、千差万別です。しかし、日米株式ともに以下をご参考に供します。
米国株
米国株の過去数十年のリターンは年率平均6~7%程度というものがあります。この数字は拙著『#シンFIRE論』でも紹介したものです。
(パランティアやNVIDIAなどの一部AI銘柄はPERが非常に高いので、一部銘柄は除きます)
日本株
日本株も期待リターンとしては、
- 「期待収益率= 企業業績の上昇 + インフレ + 自社株買い」
という構図に照らし合わせると、今後インフレ率が現状と同等つまり3%程度で推移するならば、中央値を3%と仮置きし、その時点で住宅ローン利率を超えることになります。
ということは
以上から考えると、あくまで仮置きした数値もありますし、暴落が起きれば短期的に状況は大きく変わりますが、
- 「中長期でならすと基本的には住宅ローンを完済せずに株式で運用したほうが期待値としては高い傾向」
といった表現で差し支えないだろうと思います。
注意点
- インデックス投資でない場合は運用の巧拙は当人によるので、その点は別途勘案する必要があります。
- NISAを埋めていない場合は、繰り上げ返済よりまずNISAを満額埋めたほうがよいと思います。
- ローン返済は確実に利払いを減らせます。対して株式投資は元本が変動するリスクがあります。したがって期待収益率が株式のほうが高くとも、確実性は劣ることには留意したい点です。
- 団信(生命保険)に入っている場合は、繰り上げ返済で借入残高が減るので、保険としての価値は落ちます。
結論
中長期の期待値だけ見れば、「NISA等を活用した株式投資>繰り上げ」が基本線かと思います。
しかし、上に挙げたような不確実性・団信価値・ボラティリティなどを加味すると、「”夜ぐっすり眠れる比率”だけ投資し、残りは繰り上げ返済」という折衷案が考えられますね。
ご参考になれば幸いです。
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以下2記事とも、予想が現実になってきた気はいたします。基本的には「利上げ → ローン利率上昇」を基本線として考えたいところです。