【314A】iシェアーズ ゴールド ETF より【1540】純金上場信託(現物国内保管型)がよいと思う理由
読者から「東証上場ゴールドETFの【314A】【1540】を比較するとどちらがよいか」というご質問をいただきましたので、回答いたします。
ゴールドに投資する意義
まずそもそも金(ゴールド)を保有・投資する意義については以下が挙げられると思います。
- 株や債券以外への分散
- 戦争など有事における資金逃避先
- 既存通貨への不信感(とくに近年)
株と金の逆相関が崩れている
株と金は長らく「逆相関(片方が上昇すれば、もう片方は下がる)」が通説でした。しかし近年この前提が崩れています。

出所:日経ビジネス
ちなみにリーマンショック以前は逆相関の関係を確認できますが、世界の中央銀行が貨幣を大量に発行してきたリーマンショック以降は、金は株と同じ「リスク資産」のような動き、つまりリスクオンで買われ、リスクオフで売られることが明らかに増えました。
リスクオフでも底堅くなっている

では株と同じ動きをするかと言えばそうではなく、2024年の8月5日の暴落、先日のトランプショックでも日経平均が約20%下落したのに対しドル建て金価格は5%ほどしか下がっていません。
株と同様に暴落したリーマンショックとは対照的な動きです。こうした独自の動きをするということは、株以外への分散先として有力である可能性を感じます。
また、金はその希少性、外観、時代を経て受け継がれる資産保全として世界共通の価値を持っています。国家の盛衰にともなって価値が増減してきた貨幣とは対照的です。

近年は米財政赤字が急増、政府債務も累増し、米国にかぎらず世界的に債務が増え超長期債の利回りが上昇傾向にあります。財政・債務への持続可能性について市場で取り沙汰されるようになってきました。
そのような不確実性の高い状態においては、資金の逃避先として長らく米国債が不動の地位でしたが、足もとはその米国債から資金が逃げています。代わりに逃避先となっているのが金・ビットコインという構図です。
- 紙幣:金本位制以降は物理的には際限なく刷ることができる
(=供給過多なら価値が落ちやすい) - 金とビットコイン:埋蔵量に上限がある
といった背景が関係しているかと思います。
ちなみに個人的には金への分散意義は、収益性や利子・配当といったキャッシュフローではなく、「保険」「安全資産」「リスク分散先」として位置づけています。
【314A】【1540】の比較
さて、そんななか【314A】という東証ETFが今年新たに登場しました。
米国ブラックロックが組成するETFで、最大の特長は信託報酬(手数料)が0.22%と東証のゴールドETFのなかでは最安水準。対して1540は0.44%。
したがって1,000万円を投資すると、年間の手数料は以下です。
- 314A:2.2万円
- 1540:4.4万円
そのため経費率の観点からは314Aのほうがよいことになります。
ここからは個人的な好みにすぎませんが、私は金の現物に裏付けられたETFで、国内保管型の1540を好みます。

出所:SBI証券
上表のとおり314Aも現物による裏付けがありますが、保管先がロンドンです。
本ETFの投資先とする海外上場の金ETFは実際にロンドンに金庫をもっており、すべてのETFの受益権分の金を常に保管しております。
出所:SBI証券
対して1540は、国内に現物が備蓄されているとされています。
貴金属を国内に備蓄する戦略的効果という社会性を有する点です。
“金の果実”シリーズは、貴金属の現物が倉庫に入ったことを確認した上でETFを発行する仕組みとなっています。投資家様にお取引いただけばいただくほど、ETFを追加で発行する必要があります。そのためには裏付けとなる貴金属の現物を日本国内に保管する必要が出てくるのです。つまり、純資産残高(口数)が増えることにより、増えた分に応じて貴金属の現物が国内に備蓄されることになります。
日本はご存知の通り、資源国ではありません。そのため、貴金属といった貴重な資源を日本国内に備蓄する意味で、大きな社会的な意義があると考えています。
出所:楽天証券
1540を保有すると、大きな社会的意義があることが確認できます。そして近年「ドルの武器化」つまり米政府が敵国に対してドル資産の凍結や米国上場のロシアETFを締め出すなど、第三国からすれば国外に保管されている資産が凍結されるリスクが顕在化したことになります。
日欧がそのような政治的緊張を抱えるリスクは現状かんがえづらいとは思いますが、安全資産として金を保有するならば、わざわざ国内保管型(1540)ではなく海外保管型(314A)をえらぶ必要はないかなというのが個人的な意見です。
まとめ
ということで以下のようにまとめられると思います。
- 手数料の安さを最優先するなら、314A
- 安全性・社会性を重視するなら、1540
以上参考になれば幸いです。
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