S&P500やオルカンなど「インデックス投資全盛期」と円安定着リスクへの備え

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ひと握りの優良株に資金が集中する「インデックス投資全盛期」

これまで金融市場を見てきて、近年になって以前より感じるのはインデックス投資の優位性です。

補足

ここでいうインデックス投資とは、「S&P500やACWI(オルカン)といった代表的な指数に連動する投資信託またはETF」への投資を指します。

その背景として、ひと握りの優良株に近年特に資金が集中していることが挙げられます。

ハイテク以外の優良株でさえ相対的に不調

S&P500が最高値を更新し続けています。反面その陰でハイテク系以外の優良株が不調です。以下は52週安値(直近52週の期間中の取引でつけた一番安い値)に接近している銘柄群です。

  • MSCI $MSCI – $479
  • Deere & Company $DE – $364
  • Accenture $ACN – $301
  • McDonald’s $MCD – $250
  • Boeing $BA – $185
  • PepsiCo $PEP – $163
  • Johnson & Johnson $JNJ – $145
  • Diageo $DEO – $126
  • United Parcel Service $UPS – $136
  • Whirlpool $WHR – $101
  • Nike $NKE – $76
  • Starbucks $SBUX – $76
  • Gilead Sciences $GILD – $67
  • Mondelez $MDLZ – $65
  • Archer-Daniels-Midland $ADM – $60
  • PayPal $PYPL – $58
  • CVS Health $CVS – $58
  • Cisco $CSCO – $46
  • Bristol-Myers Squibb $BMY – $41
  • Comcast $CMCSA – $38
  • BCE $BCE – $32
  • Kraft Heinz $KHC – $32
  • Intel $INTC – $30
  • British American Tobacco $BTI – $30
  • V.F Corporation $VFC – $13

これらの多くは米国株のなかでも、往時に良好なリターンを示してきた優良株です。JNJ、DEO、BMY、PEPなどバリュー株は近年一貫してリターンがよくないので意外性はありませんが、さすがにマクドナルドやMSCI、ナイキ、スターバックスといった堅牢な優位性と良好なリターンを示してきた低配当・高増配株が軒並みふるわないのは従来と異なる印象を受けます。

もちろん、マクドナルドやMSCIといった優良株も、定期的にこうした低迷期は今までもあり、ほどなく反騰し良好なリターンを示してきたので、今回もそうなる可能性はあります。

「Mag7」に資金が集中 → 指数優位

出所:moomoo

ただそうした可能性を差し引いても、「Magnificent 7」に代表される米国大型ハイテク株などごく一部の銘柄が突出したリターンを示しています。

S&P500は時価総額が大きい上位銘柄の動きに左右されやすい構造なので、一部の時価総額の大きい銘柄が突出したリターンを示せば、S&P500はそのぶんほかの大多数の個別銘柄より優れたリターンを示しやすくなります。

出所:Bloomberg

この傾向は2018年頃から顕著に感じるもころで、近年はさらに顕著ですね。「インデックスさえ買っておけば、楽に儲かる」という印象さえ持ちやすい傾向が続いています。

とくに投資をはじめたて、または始める人は、よほど好みやこだわりがないかぎりは、この手のインデックス系の投資信託「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」や、ETF(2558)などが無難かつ手間なく収益を得やすいものと思います。

円安定着リスクへの備えとなる外国株インデックス投資

もっとも、外国株への投資は円高で円建て資産が目減りするので、円高リスクを内包します。ただし現状円安の構造が根本的に覆される要素として考えやすいものは、米FRBの連続的な利下げや地政学などの変化等にかぎられる印象で、日本側で打てる手はとぼしい(後述)ように映ります。

とくに昨今の円相場は、金利差だけでなく、実需面つまり国際収支の面(以下①・②)や、財政面(以下③)でも以下のような要素を指摘できます。

円相場で念頭に置きたいこと
  1. 日本の経常黒字は20兆円(2023年)と再び良好ながら、内訳として証券投資や直接投資が多く、これらは外貨での再投資が圧倒的に多い性質であるため、円買いフローがおこらないがゆえにキャッシュフローベースでは赤字であり、実需の円買いにつながっていない(=円安要因)
  2. デジタル赤字(GAFAMへの課金)は言い値で払わざるを得ず、生活の一部として仕組まれてしまっているので日本企業でGAFAM系のサービスが内製化できないかぎり今後もデジタル赤字が拡大することが予想され、インバウンドによる旅行収支黒字を食いつぶす状態が続き、サービス収支が悪化する可能性が高い(=円安要因)

    神田財務官の最終報告書(出所:財務省)

  3. 高水準の政府債務があることで、財務省・日銀は円安是正や利上げよりも、国債格付け維持を優先する可能性(=円安要因)
    ※国債格下げをされれば投機的な円売りが想定されるので、財務省が格付け維持を優先するのは納得

こうした背景があるので、心情的にはGAFAMのサービス利用を控えたいが、いかんせん生活に組み込まれてしまっている

以上の要素にかんがみると、円安が構造的に定着する可能性を念頭に置きたくなります。こうした円安リスクに備えるには、日本株も(円安を通じて海外勢からの証券投資が期待できるので)有効との考えも一因として保有してきましたが、外国株の保有比率を少し上げたいと思います。

たとえば最近以下を買っています。

  • 1678:(NEXT FUNDS)インド株式指数上場投信
  • 2558:MAXIS 米国株式(S&P500)上場投信

個人的には現物口座は日本株を握って配当を得つつ、信用で東証上場の外国株ETFを持つことが一案かなと思っています。

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