債券市場に比べて、株式市場は楽観に傾く(MOVE指数とVIX指数)

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債券市場に比べて、株式市場は楽観に傾く

市場心理を知る1つの指標として、MOVE指数とVIX指数があります。

  • MOVE指数:債券市場における恐怖指数
  • VIX指数:株式市場における恐怖指数

恐怖指数は「これから1か月ぐらい値動きヤバそう(暴落しそう)」と市場参加者が感じるときに上昇します。

債券市場は、株式市場と比べると、いわば「プロが集まる市場」です。生の債券(=ETFでない債券)は売買単位が大きく、参加者の大半は、年金や投資信託など運用を専門におこなう機関投資家や金融機関です。個人投資家の割合は低くなります。

したがって、「専門性の高い人々がどう考えているか」を見るうえで、債券市場は参考になることがあります。

さて以上をふまえたうえで、MOVE指数をVIX指数で割った下段グラフ①を確認します。

  • MOVE指数をVIX指数で割ることで、「債券市場と株式市場の悲観度合いにどれぐらい差があるか」を確認できます。
  • 言いなおせば、「数値が高いほど、債券市場より株式市場が楽観的、逆に数値が低いほど債券市場より株式市場が悲観的」と示唆します。

MOVE指数÷VIX指数

現在の状況:「MOVE指数÷VIX指数」が高い

グラフ①をながめると、現在「MOVE指数÷VIX指数」が高いことがわかります。つまり、「現在は、債券市場に比べて株式市場は非常に楽観的」と示唆しています。

コロナショック:「MOVE指数÷VIX指数」が低いときに、株式は底をつけた

逆に直近で「債券市場に比べて株式市場が悲観的だったとき」は、グラフ①を見ると2020年3月20日頃です。これはちょうどコロナショックで株式市場が底をつけたときでした。

したがって、「MOVE指数÷VIX指数」は、過去に「株式市場のトレンド転換サインとして機能した前例がある」といえます。

MOVE指数とVIX指数

リーマンショック:先にMOVE指数が大きく上昇、遅れてVIX指数が大きく上昇した

グラフ②のとおり、リーマンショック期(2007~2008年)では、先にMOVE指数が大きく上昇し、遅れてVIX指数が大きく上昇。株式市場は暴落しました。

ただし、2013年はMOVE上昇後も、VIX上昇せず、株式は上昇

2023年4月現在も、当時と同じく、先にMOVE指数のみ大きく上昇していることがグラフ②からわかります。この点だけ見ると、リーマンショックを連想させます。

ただし、2013年を見ると、MOVE指数のみ大きく上昇したあとも、VIX指数は低位安定です。S&P500はその後も上昇を続けました。

そのため、一概に「MOVE/VIX」で株式市場の今後を見極められるわけではありません。

まとめ

したがって言えるのは、

  • リーマンショック型ならば、今後VIX指数がMOVE指数より遅れて上昇し、株式も下落
  • 2013年型ならば、今後VIX指数はMOVE指数に連れて上昇せず、株式は上昇
  • MOVE指数が高い値で推移している今、遅れてVIX指数も上昇しだすとイヤな感じ

といったところです。

ただし、足もとの状況を確認すると、パウエル議長はFOMC後の会見で「銀行システムに広範な脆弱性はない」「シリコンバレー銀行は例外だった」といった発言をしています。そして実際に今回利上げに踏み切っています。

つまり、FRBは「直近の銀行危機は、新興企業を顧客とする銀行やずさんな経営をしていた銀行特有の問題で、金融システムへの影響は現時点では見られない」という見方を言行一致で示唆しています。

実際に今後、中長期的に金融システムにどのような影響があるかは別にして、短期的には銀行不安が後退したことでVIXは低下傾向、目先は株式市場の好感が続いています。現時点では「2013年型」が連想されやすい状況と思います。

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