【IBM】2019年、第1四半期決算内容
IBMの2019年第1四半期の決算をまとめると以下の通り。
(以降単位はEPSやマージン以外は全てbillion USD)
1Q2019 | 前年同期比 | |
売上高 | 18.2 | -1% |
調整後EPS | 2.25 | -8% |
グロスマージン | 44.7% | +0.9 |
営業CF | 2.3 | +0.1 |
フリーCF | 1.7 | +0.3 |
売上高・EPS・グロスマージン
1Q2019 | 前年同期比 | |
売上高 | 18.2 | -1% |
(クラウド・コグニティブ) | 5 | 2% |
(グローバルビジネス) | 4.1 | 4% |
(グローバルテクノロジー) | 6.9 | -3% |
(システム) | 1.3 | -9% |
調整後EPS | 2.25 | -8% |
グロスマージン | 44.7% | +0.9 |
<セグメント収益>
IBMは現在高付加価値事業に転換しようとしているわけですが、クラウド・コグニティブ、グローバルビジネスはいずれも同社の中で高付加価値事業と位置付けられており、その2つのセグメントが前年同期比で増収が確認されました。
<調整後EPS>
また、調整後EPSは前年同期2.45ドルから2.25ドルへと-8%となりました。しかしこれは前年同期が税制改革と人員削減という一時的な押し上げ効果が今季剥落したためです。
前年同期の2018年1Qでは、税制改革と人員削減により、0.32ドルのEPS押し上げ効果があったのです。
実質的なEPS変化としては、減収による0.1ドル押し下げと自社株買いによる0.08ドルの押し上げがほぼ相殺している形です。
<グロスマージン>
グロスマージン(粗利益率)が44.7%と前年同期で0.9ポイント良化しました。同社CEOは「この良化は高付加価値への転換が進んでいる」として好意的に受け止めています。
キャッシュフロー
キャッシュフロー | 1Q2019 | 前年 同期比 |
直近12か月 |
営業CF | 2.3 | +0.1 | 15.7 |
投資CF | 0.6 | 3.4 | |
フリーCF | 1.7 | +0.3 | 12.2 |
配当支払 | 1.4 | ||
自社株買い | 0.9 | ||
債務(借入ー返済) | 4.2 |
- 営業キャッシュフロー(GF債権除く)は前年同期比1億ドル増加の23億ドル。
- フリーキャッシュフローは前年同期比3億ドル増加の17億ドル。
フリーキャッシュフローが配当支払を上回っていることが確認できました。
また直近12か月の値より1Q決算の値が小さいにも関わらず、前年同期比プラスであることから、1Qから4Qに向かってキャッシュフローが増大していく傾向があることが示唆されます。
ちなみに、同社はRed Hat買収による債務増大(上表の通り、今季42億ドル計上により、債務は計500億ドルに増加中)を受け、2020年と2021年は自社株買いを一時停止して債務返済に充て込む計画を発表しています。
FY19ガイダンス
2019年度通期予想については、以下の通りガイダンスを維持。
調整後EPS :13.9ドル
フリーCF :120億ドル
ちなみに、レッドハット買収効果による業績寄与はこの調整後EPSのFY19ガイダンスには含まれていません。つまり、今年度いつRed Hatの買収時期がブレたとしても、ガイダンス押し下げ要因にはなりません。
2019年度ガイダンスが維持されたままであることから、現時点では2019年度における調整後EPSは13.9ドルです。また、四半期配当1.57ドルベースで増配加味しない場合は年間配当6.28ドルです。
よって、2019年度予想配当性向は調整後EPSベースで、45.1%と一見差し迫った問題はありません。
また、フリーキャッシュフロー120億ドルを発行済み株式数で除した値は13.4ドルなので、依然として大きく1株あたりの年間配当6.28ドルを大きく上回っています。
【IBM】2019年1Q決算まとめ
・IBMの2019年度通期予想がこのまま維持されれば、1株あたりフリーキャッシュフロー、1株あたり調整後EPSが、1株あたり配当を大きく上回ることになります。
・レッドハット買収による債務増大は2020年・2021年の自社株買い一時停止によりその分債務返済に充てられることが予期されます。
Best wishes to everyone!