IBMってどんな会社?
IBM(アイビーエム、International Business Machines Corporation)は、民間法人や政府機関を対象とするコンピュータ関連製品・サービス・コンサルティングを提供する米国企業です。
2016年時点では米国特許取得数が23年連続の1位という研究機関としても有力です。おなじみのATMやハードディスク、バーコードやDRAMはIBMの発明品です。5名のノーベル賞受賞者も輩出しています。
IBMの歴史は1911年に遡ります。IBMの前身である「C-T-R:The Computing Tabulating Recording Company」が設立され、コンピュータに命令やデータを読み込ませる”パンチカード”を開発していました。
その後、1917年にカナダ市場参入の際に、IBMの名前を用い、1924年に全社的に現在の社名になりました。
第二次世界大戦では自動小銃も製造し、パンチカード機器が核兵器開発などの計算に用いられます。終戦後ついにコンピュータ時代が幕を開け、IBMも製造・出荷開始。
1960年代に他社を圧倒し、シェア第一位。しかし、69年には司法当局に独禁法違反で提訴され、70年代末期にはアップルのコンピュータが広く普及します。
1981年に今のパソコンとなる「IBM PC」が発売され、1984年にアップルが発売した「Macintosh」に性能で劣後するものの、ビジネス利用に優れ、普及度では優位に立ちます。
90年代には主力事業のメインフレーム(汎用コンピュータ)事業が陰りを見せ、ハードウェアからソフトウェアに転換し、コモディティ化するタイプライターやネットワーク事業などの不採算部門を売却。
現在はワトソンに代表される人工知能や、量子コンピュータ、クラウド・ビッグデータ分析などデジタル分野を積極的に推進しています。
【IBM】株価推移(10年間)
リーマンショックの際は株価は1年足らずで同水準を回復しています。
減収が続き、オマハの賢人で投資の神様ことウォーレン・バフェット氏が同社株式を売却したこともあり、株価が200ドル台だった頃と比べ近年は低迷しています。
引き続き、人工知能やクラウドなど戦略部門の動向が注目されます。
IBMの業績・財務状況
IBMのEPS・配当・配当性向
2018年はガイダンス(予想)の値を用いています。2017年のEPSは米国の税制改革の影響による一時的な落ち込みです。
2013年にかけてのEPSの伸びは惚れ惚れする伸びを見せていますが、自社株買いによる押し上げ効果があるにも関わらず、2013年を境にEPSがピークアウトしています。本業が苦戦中であることが如実に表れています。
配当は四半期あたり1.5ドル⇒1.57ドルに増配が発表され、連続増配年数は23年となりました。配当は順調に伸びています。
IBMの増配率
ただ、増配率は低下しており、2018年の増配率は5.3%となっています。4%~5%の増配率は体感的にはまぁまぁといったところです。8%以上あると、「増配幅は結構大きいな」という感じです。
IBMの発行済み株式数
同社は配当での還元以外にも自社株買いも積極的に行っており、発行済み株式数に表れています。自社株買いによる発行済み株式数の減少はEPS・DPSにポジティブですので歓迎すべきことです。
IBMのキャッシュフロー
IBMが優れているのはこのキャッシュフローです。
2018年1-3月期の決算で、通年フリーキャッシュフローを約120億ドルと見込んでいますから、2017年と同水準になります。
このキャッシュフローが株主に対する配当の源泉となりますから、キャッシュフローが最も注目すべきポイントでもあります。
期待される量子コンピューター
同社の直近のトピックとしては、「未来の計算機」と目される量子コンピューターです。個人的には人工知能のワトソンよりも量子コンピューターに注目しています。
最近でこそ、やっと日本のNTTなど産学連携グループや日立製作所などが算入していますが、グーグルやIBM、マイクロソフトなどの米民間企業も研究開発に資金を投じています。
量子コンピューターは、現在のコンピューターで数千~数億年かかる複雑な暗号データでも解読できてしまいます。スーパーコンピューターではなしえない程の計算処理が可能なので、渋滞解消や暗号解読などにも応用が期待されます。
街中を行き交う各自動車の行先を高速処理し、適切なルートを提示して渋滞解消が実現されるとしています。
今後需要が大きく伸びることを見込める分野ですので、同社がどう与していくのか要注目です。
Best wishes to everyone!