インフレ、利上げ時代の住宅ローン、「実質的な金利負担の有無」で攻守を分けて考える
「現下の状況で、私ならどのように住宅ローンを組むか」というご質問をいただいています。
不動産ローンは「属性、手持ち資金、福利厚生」といった変数で戦略が変わってくるので、以下の論点から論じます。
- 実質的な金利負担の有無
- 頭金をいくら入れるか
- 変動か固定か
- どの金融機関で組むか
- 住宅ローン控除の活用
題名: 住宅ローンについて
いつも楽しくブログを読ませていただいております。穂高さんがブログで私が毎日飲んでいるものとほとんど同じスムージーを飲んでいると知り勝手に嬉しくなったりしています笑
この度、戸建住宅の購入を考えており、住宅ローンについてご意見いただきたいと思い連絡させていただきました。
土地の購入からでして、諸経費等諸々含めて6,500万円から7,000万円ほどの費用を見込んでいますが、もし穂高さんが今の私の状態であったらどのようにローンを組むか知りたいです。
家族構成
私35歳、妻35歳、長男5歳、次男1歳
資産
株式 約6000万円
現金 約3000万円
教育資金 約1400万円
※上記のほか、現居の中古マンションの売却で約1000万円が入る予定です。
収入
給与 約520万円(年額手取)
配当収入 約200万円(税引後)
その他 約100万円
不動産業者にはローンは5500万円程度組めると言われています。
この状況で、頭金をいくら入れるか、ローンは変動か固定か、どの銀行で組むか等ご意見をいだければ幸いです。
日々お忙しくされていると思いますが、よろしくお願いいたします。
なんと、スムージー仲間でしたか。35歳にして億超え投資家。朝から私と共に白濁のエナジーを経口注入ですね。

さて、資産の内訳を拝見すると、「金利が上がっても、繰り上げ返済できる余力がある」のが大きいですね。配当の柱も太く、堅牢な財務基盤をお持ちです。
したがって、結論から申し上げますと「どの選択を取っても、家計が行き詰まりにくい」という大前提があります。そのうえで、私ならどう考えるか、以下にまとめます。
A. 実質的な金利負担が生じる場合
まず、住宅ローン控除の活用によって、「住宅ローンの支払利息が実質なし」となるケースが考えられます。したがって金利負担が生じる場合と生じない場合に分けて論じます。
まず、実質的な金利負担が生じる場合(=住宅ローン控除額<金利負担 となる場合)です。
論点①:頭金をいくら入れるか
- 現金を持て余しているなら、すべて頭金に入れます。
- 現金の一部を株式投資にまわす予定ならば、それ以外の全額を頭金に入れます。
意図は、金利負担による現金流出を確実に安く抑えるためです。
「株式による期待リターン>金利負担」というように比較をして、「手元の現金はなるべく温存し、フルローンにして株式投資にまわすべきだ」という意見も昨今はよくみられますね。
ただ、株式の期待リターンは不確実なので、確実に金利負担という固定費が減る住宅ローンを抑えるというのも守りに徹する堅実な一手です。
「不確実だが高い期待リターン」「確実に金利負担を抑える安心感」のどちらを取るか、という好みになります。
またもうひとつ考慮したいのは、現下インフレなので、借金をしたほうが実質債務はインフレに準じて減っていくということです。したがってインフレの観点からはできるだけ多く住宅ローンを活用したほうがよいことになります。
論点②:変動か固定か
日銀の利上げ路線を念頭に、ご質問者さまの潤沢な手元現金を活かすならば、以下の戦略が考えられます。
- ローンは変動にして、目先の金利負担を安く抑える、そして
→ シナリオ①:日銀の利上げが遅々として進まないようであれば、変動ローンのまま維持
→ シナリオ②:逆にもし利上げが急速に進むようであれば、手元の待機資金で一括・繰り上げ返済を進める
ご質問者さまは「金利が上がれば、いつでも手元の現金で返済できる」という強い手札を持っています。これは変動金利の上昇リスクをカバーできる状態なので、変動金利との相性は良いと映ります。
※変動金利には金融機関によっては「5年ルール・125%ルール」があり、金利が急上昇すると未払利息・総返済額が膨らむリスクがあります。したがって、手元資金でいつでも一括返済できる強固な財務基盤は極めて有効な防御策になります。
論点③:どの銀行で組むか
銀行選びに関しては、ネット銀行の低金利プランや、不動産業者の提携ローンなどを天秤にかけることになるかと思います。
補足:私の実例
ちなみに私がFIRE前に自家用マンションを購入した際は、固定10年で利率は0.47%程度と安く、住宅ローン控除の恩恵のほうが大きかったので、頭金はほぼ入れずに当面は固定10年で借りておいて、10年経たずに全額返済する算段でした(結果的に数年で売却し、売却による現金で返済に充当)。
仮に属性がよい、または勤務先の提携ローンの優遇がよい、そして住宅ローン控除が活用できる(後述)等の条件を満たしているなら、私のように固定10年で借りて金利上昇リスクを排しつつ早めに完済する戦略もありです。この戦略は早期に負債を払拭することを優先したものです。
まずは勤務先の福利厚生を確認。とくになければ、市中の金融機関で最も条件(金利や団信の充実度)が良いところを選ぶのが王道になろうかと思います。
B. 実質的な金利負担が生じない場合
住宅ローン控除制度を最大限活かすには、不動産選定において「ZEH・長期優良住宅」を選べば、5,000万円・13年間の最大控除枠(最大455万円)を確保できます。
こうしたケースの場合、実質的に金利負担が生じない場合が考えられます。その場合は、頭金を入れずにフルローンまたはできるだけ多額のローンを組み、その分の資金を世界の株式市場等に置き続けたほうが長期的な複利効果により最終的な資産額が大きくなる公算が高いです。
ちなみに、収入によっては「住宅ローン控除額(5,000万円×0.7%=最大年間35万円)>納税額(その年に納める所得税と住民税から引ける上限額)」となり、控除額が全額回収できない場合があります。その場合は単独でローンを組まずに「ペアローン」を利用して夫婦それぞれの所得税・住民税から減税枠を全額回収する戦略も検討できることを申し添えます。
※つまり、住宅ローン控除は「自分が払った税金以上の額は戻ってこない」仕組みだということです。
以上が回答になります。
これからの新居での生活、そしてお子さまの成長が楽しみですね。盤石な資産があるからこそ描ける自由な選択を、ご家族でたのしめそうですね。
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