AIブームは一過性のサイクルではなく、長期的な構造的トレンド

今から半導体系の銘柄へ投資するのは遅きに失するのか、波に乗れるのか、未来は予測不能です。しかしひとつ言えるのは、米巨大テックのAIインフラへの設備投資は強力に推進されるであろう、という推論が現状は支配的です。
巨大テックのAIインフラ投資は巨額の見通し
Alphabet(Googleの親会社)は2026年第1四半期の決算発表において、2026年通期の設備投資ガイダンスを従来の1,750億〜1,850億ドルから1,800億〜1,900億ドルへと上方修正しました。
これは単一企業の単年度設備投資としては企業史上最大規模であり、その大部分がAIサーバー、データセンター、ネットワーキング機器に割り当てられるとされています。
さらにAlphabetは、2027年の設備投資が2026年を「大幅に上回る」と予告しており、AIインフラ投資が単なる一過性のサイクルではなく、長期的な構造的トレンドであることを裏付けていると解釈できます。
上記はあくまで一例ですが、複数の投資シナリオを考えたときに、ひきつづき半導体系が一過性ではなく中長期で市場を牽引していくシナリオにある程度は資金を割いておくことはリスク分散のひとつと言える状況と認識します。
ただし、今期または来期コンセンサスEPSを基準としたPERがあまりに高すぎないかは事前に確認することが求められようかと思います。あまりに割高では、先般の利上げ懸念の際に露呈したように下値余地も相応に大きいことになります。
他方、現在の半導体株の隆盛は、「今後支障なくトレンドが継続する」という前提の上に成り立っていることも認識しておく必要があると思っています。
- TSMCの月次売上高
- 米金利動向
- ハイパースケーラーの設備投資動向
たとえばキオクシアが製造するNAND価格の高騰は、ハイパースケーラーの巨額の設備投資による需要で支えられている面があり、仮にこの前提が崩れるとメモリ価格下落というリスクが露呈することになります。同様に先般の雇用統計の強含みを受けて市場の注目がCPIに集まったように、金利のさらなる上昇はハイパースケーラーの資金調達コストの上昇を意味する(手元資金だけでなく社債での調達でまかなう企業が出てきている以上、影響を受ける)のでやはりこれもリスク要因になるのでしょう。
また、ハイパースケーラー側だけでなく、ほか日本の半導体株などの高PER銘柄全般についても金利上昇の影響を受ける(=株式の現在価値は将来キャッシュフローを割引率で割り引いて算出されるため、金利が上昇すると正当化されるPERが下がり、理論株価が押し下げられる)ので、米インフレ動向は鍵を握る要素のひとつです。折しも足もとの米CPIは問題なかったとはいえ粘着的であることには変わりなく、鎮静化には至っていないことが示唆されました。
いずれにしても「完璧なシナリオを織り込んだ株価水準」は、外部環境のノイズに対して脆弱になるため、その点は認識し、波には乗りつつも陶酔状態にならないよう努める姿勢が求められると認識します。そのためには上記のトレンドを観測しておくことかなと思います。