Netflixドキュメンタリー『ビッグ・チキン:ファストフード業界の不都合な真実』
物事に因果があるように、安いものにはそれなりの理由がある場合がありますね。
もちろんモノにもよりますが、たとえば安い鶏肉にはやはりそれなりの理由があろうかと思います。
我が家は、生協の「はぐくみ鶏」という通常の坪単位あたりの飼育数よりも少ない飼育数の鶏肉を買っています。鶏卵は平飼いのものを。多少値は張りますが、これらを買ってきてよかった。そう思わせる内容です。
「安い鶏肉」の裏事情

本作は英国のコメディアンが、28日間ファストフードのフライドチキンだけを食べ続ける試みと並行して、そのあいだに鶏舎や食肉業界を探究し、業界の裏事情を明らかにする試みです。
以前、弊ブログでもこの手のドキュメンタリーを取り上げました。
資本主義社会ですから、ロビー活動や金銭的な便宜を通じて政策決定に関与できてしまいます。つまり物事の善悪や是非に、金銭が関与する可能性を排除できない一面がありますね。
とはいえ、企業側にも事情はあります。企業は利益を出し続けなければ存続できません。消費者が「より安く、より多く」を求めれば、それに応える企業が現れます。企業だけを悪者にして済むほど単純な構図でもないのでしょう。
経済合理性が生む、鶏の過酷な飼育環境
安価な鶏肉が大量に供給される裏側で、どのような飼育が行われ、どのような人々が働き、どのような仕組みによってその価格が実現しているのか。
本作では、そうした「見えない部分」が映像として次々と出てきます。
とりわけ印象に残ったのが鶏の飼育環境です。安価な肉を大量に供給するには、当然ながら生産効率を高める必要があります。限られた空間で多く飼育し、短期間で大きく育つ交配を繰り返し、効率よく食肉として出荷する。
経済合理性だけを考えれば、理にかなっています。しかし、本作で映し出されるのは
- 自分の足で立てないほど肥えた鶏、
- 放置された糞尿によるアンモニアガスで失明したままの鶏。
少なくとも私はこうした環境で育った鶏肉を食べたいとは思いませんでした。
生活クラブや生協の鶏肉、平飼い卵を今後も買おうと思いました。多少高くても、家計全体から見れば微々たる差です。
もちろん表示だけでは実際の飼育環境まですべて把握できませんし、高価な食品なら必ず健康的、安全、倫理的とはかぎりません。また、食費に割ける金額も家庭によって異なります。
ですから、「安い鶏肉を買うべきではない」といった単純な話に帰着させるつもりはありません。ただ一方で、その差額によって、自分たちが納得できる飼育環境の商品を選べるのであれば、そこにはお金を使いたいですね。
事情を知ったうえで、それでも安さを選ぶのか。多少高くても別のものを選ぶのか。その判断は各人に委ねられます。
少なくとも、普段何気なく口にしている「安い鶏肉」の向こう側にあるものを知るという意味で、本作は一見の価値があるドキュメンタリーでした。
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