『ヘルプ~心がつなぐストーリー~』黒人差別の歴史の一端を知る
子どもを見ていると、性善説を信じたくなるほど生来の純真無垢さを感じます。一方で、人類の歴史を振り返ると、後天的に残忍さや非情さも身につけ得ることを痛感させられます。
今でも「KKK」と呼ばれる白人至上主義を掲げる集団の存在は確認されており、人種差別を背景とする思想や運動が、現在も完全には消えていないことを感じさせます。
そもそも第二次世界大戦の底流にも、人種差別は無関係ではなかったことが、さまざまな書物で示唆されています。そういう意味でも、人類の歴史と差別は切り離して考えることはできません。差別は過去の出来事として片付けられるものではなく、形を変えながら今なお存在し続ける現実なのだと思います。
私自身も、欧州旅行でスペインを歩いていた際、すれ違う自転車に乗った人からアジア人に対する差別的な言葉を投げかけられたことがあります。また、英国では私たちを引率していた先生が指をさされて笑われていた光景を、今でも鮮明に覚えています。
平成の時代でもこうした出来事があったことを考えると、差別は決して過去の話ではありません。そのような現実も、海外へ出たからこそ知ることができました。島国で暮らしていると、差別は遠い世界の出来事のように感じてしまうこともあるかもしれません。
本作が描くのは半世紀以上前のアメリカですが、その時代の問題が完全に過去のものになったとは言い切れないのでしょう。一方で、ニューヨークは「人種のるつぼ」と呼ばれるだけあって、そのような空気をあまり感じなかったと話す友人もいました。
社会や地域によって状況は異なるのでしょうが、本作は、人種差別という問題が歴史だけの話ではなく、現代にも通じるテーマであることを改めて考えさせてくれる作品でした。
関連記事