インフレ下で「積極財政」は危険な綱渡り

インフレ下で「積極財政」は綱渡り

昨今SNSの一部界隈では、

  • 日本の債務は自国通貨建てなので、もっと国債を発行して財政出動しても日銀が買うので問題ない

といった論を唱える人が一定数いるようです。

こうした言説は、私が知る限りれいわ新選組や参政党でもみられます。

しかしこの積極財政論は大きなリスクを伴う綱渡りだと認識しています。

「兌換紙幣」から「不換紙幣」の時代へ

1931年に金の輸出を禁止して金本位制から離脱するまでは、兌換紙幣といって日本円は金と交換できました。

しかし金本位制を離脱して以降は、不換紙幣といって貨幣は金と交換できず、それ自体に価値はない紙となりました。

しかしみなが信用し、価値があるとみなされ、流通し、一定比率で海外の通貨とも交換できます。

日本の政府債務/GDP:突出して高い

出所:第一生命経済研究所

日本は政府債務がGDP比で約240%と諸外国と比して高いとの統計があります。

日本の政府純債務/GDP:突出して高いわけではない

出所:第一生命経済研究所

他方、債務から債権を差し引いた純債務はイタリアと同程度のGDP比120%近くまで圧縮されるとの統計があります。

また、日本は米国やフランスと異なり対外純資産を有しています。加えて、日本国債は米国とは異なり大部分が国内で消化されています。

  • 純債務が諸外国と比べて突出して高いわけではなく、
  • 外国に持つ資産のほうが外国に持つ負債より多く、
  • 国債の大部分が国内で消化されている

ことは日本円の信用力を担保するに好材料かと思います。

ただし、日銀が国債の約半分を保有しています。この事実がすでに市場で国債が消化しきれない思惑をもたせます。

長期金利は、YCCのように日銀が長期債を買うなどして利回りを操作しない限り市場で決まります(操作すると日銀の保有割合がさらに増えてしまいます)。

昨今のようにインフレで債券利回りに上昇圧力が加わると、新規で発行する国債の利払いが増えてしまいます。

このように、国債は市場で左右されます。信用力のない人に高い利率を要求するのと似ていますね。

積極財政は金利上昇リスクをはらむ

もし今のような状態で積極財政を政権が唱えだすと、財政悪化懸念から国債を売る投資家または新発国債に高い利回りを要求する投資家が出現し、長期債の利回りが上昇する可能性があります。

政府・日銀ができることのひとつは、なんやかんや理由をつけて利上げを可能な限り先送りし、物価上昇には目をつむり、インフレを継続させることで政府債務を実質的に圧縮させることかと思います。

インフレという「貨幣価値が下がる」現象を継続させることで、借金の価値も減らそうということですね。ただし国民の預金価値も下がるので、国民は株・不動産・ゴールドなどを持つことで実質的な価値を減らさないように対応することが望ましいだろうというわけです。

現在市場の焦点のひとつは金利です。日米ともに介入をしてまで金利を抑えています。

出所:TradingView

10年債利回りが1.5%が防衛ラインのようにその水準あたりで反落しています。これが上昇の一途をたどると不味な状況となりますが、積極財政はこの利回りに上昇圧力を加えるものですので危険な綱渡りになるというわけです。

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