日本はすでにMMT(現代貨幣理論)をやってしまっている

日本はすでにMMT(現代貨幣理論)をやってしまっている

本記事は、日本はすでに「MMT(現代貨幣理論:自国通貨ならいくらでも借金して返済しなくて問題ない、将来にツケをまわし続けてお金をばらまけばいいという思想)をやってしまっている」という主題です。

もちろんMMTで繁栄した国を私は知りません。金の価値に裏打ちされた貨幣(金本位制)でない現代貨幣においては、貨幣を際限なく発行して借金し続ければいずれ通貨安とインフレが生じることは明白かと思います(それがいつ起こるかはわからないわけですが、近年その兆候は感じられます)

ちなみに…
「インフレ率がゆるすかぎり発行するならよいのでは」という論もあろうかと思います。
しかしマーケットというものはひとたび弾みがつくと止まらないことがよくありますね。
ちょうどよい塩梅で市場が止まるという前提が付されることになるので、かなり危険な賭けになるかと思います。

実質金利マイナス圏が続く日本

上図は日本の実質金利(名目金利からインフレ率を引いたもの)です。日本だけマイナス金利を続けていて、足もとマイナス3.1%。円資産が目減りしていく、つまり日本人の購買力が落ちつづけているということです。

なぜ実質金利がマイナスになるかというと、「インフレ率>名目金利」という状態が続いているからです。要は、日銀が物価上昇率ほどの利上げをしないからですね。

日本銀行の使命は物価の安定(インフレ退治)であるわけですが、日銀は物価上昇率が4%を超えても「基調的なインフレではない」として微々たる利上げにとどまっています。

なぜ日銀はインフレを認めないか

なぜそのような実態にそぐわない不可解なことが続いているのかと言えば、ひとつは日本の財政問題(累積債務がGDP比で250%超 ※ただし下図のとおり純債務はさほど高くない)があり、大幅に利上げをすると新発国債の利払いが増えてしまうからなのでしょう。

政府の純債務(出所:第一生命経済研究所)

ほか、日銀が利上げをすると円調達コストの上昇によって、世界に流動性(バブル要因)を供してきた円キャリートレードの巻き戻しを誘発し資産価格が大幅に調整するリスクが高まるから、という要因もあると思います。

(昨年8月の利上げ発表で株が数日で大幅に続落したことは記憶に新しいと思います)

こうした台所事情もあり、中央銀行は本来のインフレ退治者としての役割をなかなか果たせていない状態。今、こうした「奇妙なこと」が起きているわけですね。

MMTは市場から「NO」を突きつけられる

そこへ来て選挙になれば給付金や年金対策など、バラマキを続ける与党。

もちろん経済浮揚には減税も一策でしょうけども、英国トラス政権は発表直後に金融市場がトリプル安(ポンド安・債券安・英国株安)で反応し、減税は実現しなかった一例があります。

ほかにも米国はコロナ禍で現金給付を大盤振る舞いした結果、明確にインフレが起きました。今なお続いており、過去40年続いたディスインフレの時代は終焉を迎えました。

つまり、MMTは現実には市場からNOを突きつけられており、財政出動や減税は「打ち出の小槌」ではないわけですね。

政府債務の急増は、先進国では経済が成熟し、新たな需要などさほどない(生活必需品は行き渡り、物欲は限定的)にもかかわらず、「経済成長」という幻想を追い求めたか、利権ほしさに補助金をばらまいたか、行政の無駄を省かずして増税で解決してきたか、いずれにせよそうしたツケが累積的に溜まった帰結としての膨大な政府債務という構図が浮かび上がります(日本にかぎらず世界的に債務は増加

まとめ

以上、日本はMMTをやってしまっている(純債務はさほど高くないもののGDP比250%超という膨大な政府債務を抱えながら基礎的財政収支は赤字のままで日銀はインフレ率ほどの利上げに至っていない状況。加えて減税が議論されていますがインフレ要因なので実現したら債券安要因になるかと思います)というお話でした。

ただ一応、債務はインフレで減らすことができます。インフレによって国民の購買力低下という痛みをともないますが、貨幣価値を下げることで政府の借金を実質的に減らせることになります。

出所:第一生命経済研究所

足もとインフレ期に入ってからたしかに日本の政府債務はGDP比で減少しており、日銀が利上げをしなければ政府債務の減免には有効と言えそうですね。もっとも、国民の購買力は落ちるジレンマがありますが。

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