株の買い時は「総悲観」にあり
三菱地所、楽天、サイバーエージェント、三菱商事――。
これら銘柄に共通するのは、経済誌で「○○ひとり負け」「倒産リスクはあるか」といった悲観的な記事ではやし立てられ、Yahoo!ファイナンスやTwitterでのコメントが総悲観になっている時が底だったという点です。
当事者と部外者に認識の差異
楽天は600円ぐらいの時に1万株ほど買いました(もっとも15%程度上昇しただけで売ってしまいましたが)。
当時は巨額負債の返済に追われ、週刊経済誌や投資インフルエンサーが「楽天はやめとけ」といった塩梅の語調でした。ほかソフトバンクグループもそうでした。
しかし三木谷会長は正反対で、金融機関と資金繰りはできていること、そして足もとは種まきの時期であり設備投資負担が重いものの将来見通しには強気で、基地局の応用技術を海外に売り込めている実績を強調していました。
このように当事者(三木谷会長)と部外者(経済誌記者、ネットユーザー)に明らかに認識の差異があり、よほど当事者が大言壮語を吐く人物でないかぎりは当事者に信用の分があるのではないかと思います。これはソフトバンクグループにも言えることかと思います。
業績と株価に差異あり
三菱地所も1,600円台の頃は総悲観でした。
「三菱グループのなかで、三菱地所だけは買わない」といった論調も見かけたり、Yahoo!ファイナンスは罵詈雑言であふれていました。
これは当然といえば当然で、人間には直近の事象を重く認識する傾向がみられるため、直近の実績に強く左右されることが背景にあるかと思います。
しかしさすがに過去10年業績が右肩上がりで株価が右肩下がりというのは異常に思え、1,600円台と1,700円台で買いました(もっとも、成功例を2つ挙げたものの、失敗例もあります。京王電鉄のように、総悲観かつ好業績で買ったものの結果的に損切りが拙速で、上手くいかなかった銘柄もあります)。
現在の資生堂はどうか

資生堂の株価
過去の実績ばかり述べても詮無きことですので、現在そういった株はあるかといえば、先日の記事の通り「資生堂」が候補になるとは思います。
日経新聞に悲観的な記事が出てきました。
資生堂が中国依存のツケに苦しんでいる。中国政府の転売規制の影響でドル箱だった免税店の販売が急減、現地メーカーとの競争激化や景気減速のあおりで復活の糸口は見えない。日本や欧米を含めたグローバルでコストを減らして利益回復を目指す方針を11月に発表したものの、市場の反応は冷淡だ。株価は2016年以来の安値圏に沈んでいる。
資生堂が中国依存のツケに苦しんでいる。中国政府の転売規制の影響でドル箱だった免税店の販売が急減、現地メーカーとの競争激化や景気減速のあおりで復活の糸口は見えない。日本や欧米を含めたグローバルでコストを減らして利益回復を目指す方針を11月に発表したものの、市場の反応は冷淡だ。株価は2016年以来の安値圏に沈んでいる。「新...
メディアは今起きていることを追って記事にするため、業績悪化から多少の時間を経て記事化されると。
ただ資生堂の場合は悲観的な記事は出たものの、中国依存からの脱却を表明しているものの、楽天のように経営層から強気のコメントは確認できず、地所のように業績と株価の方向が乖離しているわけでもありません。

出所:資生堂IR
中期経営戦略の「アクションプラン2025-2026」を策定したと12月はじめに発表したものの株価は好感せずむしろ下落という状況。
買いサインとなる両翼の条件を、「①総悲観」と「②株価と、業績や見通しの乖離」とするならば、資生堂の場合は「①総悲観」という片翼のみ条件を満たした格好。
地所や楽天は上記両方を満たしたので多めに買いましたが、資生堂は片方のみであるため、購入金額も控えめにしました。
なお、こうした論理展開は我田引水感も否めないことを申し添えます。
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