青春18きっぷの改定について思うこと
青春18きっぷの内容が改定されました。
最も大きな変更点は、従来は日付を分散して5日間いつでも乗車できたのが、利用開始から「連続5日間」に限定されたことです。
利便性が下がったことで署名運動が起きるなど、ユーザーは反発しているようです。
- 5日連続になったことで利便性が下がった(反対意見)
- 青春18きっぷ利用者の実態は、若者よりむしろ高齢者層が多くを占め、5日連続にすることで本当に時間に余裕のある学生向けになった(好意的な意見)
②のような擁護する意見も見られましたが、少々無理のある論理展開に見えます。あまねく層において利便性が下がっているかと思いますので。
今年は夏の頃からすでに例年より青春18きっぷに関する公式情報発信が遅く、「すわ改悪か」と一部でささやかれていたわけですが、その懸念が的中した格好ですね。
この現象について思うことは、「民営化が伝家の宝刀にはなるとはかぎらない」といったところでしょうか。
JRはもともと国鉄と呼ばれる国営企業。上の世代の人によると、当時「民営化すれば初乗り運賃が半額になる」といった謳い文句があったものの、結果的に民営化しても運賃は変わらなかったそうです(EU離脱でこれだけのメリットがあると喧伝されていたBrexitを少々彷彿とさせます)。
たとえ民営化しても、内部、つまり社員や経営陣が変わらなければ、箱を移し替えただけで中身は同じということでしょうか。
また、民営化するということは、株式市場に上場することでもあり、株主から株主還元や増益などの利益主義的な圧力にさらされやすくなりますよね。
上の記事で触れたJALと同じことが底流にあるようにも思えます。
つまりは、実質的な値上げや消費者の利便性を下げることで増益は達成しやすくなるわけで、消費者に厳しくすれば株主に手厚い還元ができてしまう、「消費者と株主の利害は相反する」という現象が起きますよね。
実際、とくにJR西日本は株主還元に積極的になりました。
すると予想されることは、ますます以下両者の格差が開いていくことです。
- 株式を持つ消費者
- 株式を持たない消費者
以上はあくまで1社に関する微視的なお話ですが、巨視的に見て話を少々飛躍させるならば、格差はとどのつまり社会不安を招く傾向もみられます。
米国型の株主至上主義は少なくとも農耕民族社会で和を以て貴しとなす日本と親和性は高くないとかねてより思いますが、その真偽はいかばかりでしょうか。