若くしてFIREしたいなら、最初から戦略的に突き抜けたことをやる
FIREは何年経っても耳目を集める言葉であるようです。先週も丸の内でFIRE関連の取材を受けました。
SNSでは日々FIREに関して喧々諤々と口角泡を飛ばすがごとく話題になっているようです。
突き抜けたことを複数やる
取材でFIREをめざす方法をよく聞かれるのですが、「わかりやすく端的な方法」というのは表層的な内容になるので、突き詰めて回答しだすと長くなります。
そんな簡単な方法はないからです。短期的にはあるかもしれませんが、中長期で通用する簡易的な方法はないと思います。
したがって結局思考(マインド)が大事であるとの結論に至ったからこそ『#シンFIRE論』は単なる資産形成のノウハウ本ではなく、「主体的思考」が主題となりました。
たとえばお金を貯めるにしても「普通の思考で普通に生活して普通の収支では、FIRE後の生活をよほど吝嗇としないかぎりFIREできるほどの資産は貯まりにくい」というのが残酷な現実かと思います。突き抜けた結果を収めるには突き抜けたことを最低でもひとつはやる必要があります。
例:好待遇の企業に入る、副業で成功する、海外労働で給与をブーストさせる、株や不動産で成功する、支出を最適化する
私の場合、これらを徹底してやったうえでのFIREだからこそ、「ぐうたらでFIREできます」とか言うつもりはないですし、冷酷な現実を冷徹に言えば、FIREは一部の人にしかできないと思います。
支出の最適化も、単なる節約ではなくあくまで人生の満足度を損なわないように、当時活用できる制度も調べて以下のようにしていました。
- 福利厚生や諸制度の活用(住宅ローン控除と金利負担の逆ザヤ)
- 旅行は特典航空券の利用
- 一通り高級な衣服、飲食店、旅館(大学時代の高消費生活、社会人時代の接待経験)を経験したうえでの「支出の最適化」
また、FIRE後も人生は続きますし、経済情勢や投資の前提条件も日々刻刻と変わっていくものだと私は思うので、FIRE後も変化に対して柔軟に対応できたほうがよいと思います。それこそFIRE後の不安を打ち消す自信にもなるでしょう。
なお、上記青字はあくまでお金の面に絞ったもので、それよりも本質的だと思うこととして、以下があると思います。
例:主体的に生きる、自分の価値観と人生観をよく知る、既成概念や社会通念を盲信しない、誰のどんな声に耳を傾けるか取捨選択する
結局FIRE後も、自分の人生観が明瞭であれば右往左往することもなく、それこそ毎日が特別なものになります。私の場合、人生を通して好きなことは思春期から変わっていません。中高時代のほかの友人を見てもそうで、今現在の彼らと通底しているように見えます。
人間の根本の部分はそう簡単には変わらなくて、人生を通して打ち込めたり好きなこともそう簡単には変わらないと思います。それさえ自分の中で主軸として明確に持っておけば、人生の意志決定や行動規範もおのずと明らかになります。
最初から戦略的に行く
人間である以上、すべてを手に入れたいはずです。若くして経済的自由を得て、配偶者や子にも恵まれ、そういう人生を送りたい人が多いのだと思います。
私の場合は独身時代からセミリタイアを目指していることを共有したうえで、宣言通りFIREをし、育児という順序となりました。
私が思うに結論としては、自分の体験談としても言えるのですが「人生の早い段階から戦略的に行くこと」が比較的再現性のある近道ではあると思います。
私の場合は書籍にも書きましたが、就職前から経済的自由をねらっていましたし、好待遇の企業に入れるだけの学歴や外国語能力、就活で胸を張って話せるだけのほかの人にはなしえないであろう濃密な北京留学生活も送りました。中高時代の話などは書籍に譲りますが、とにかく社会に出る前からすでに経済的自由を獲得しようとしていたということです。その背景には母子家庭でもあり、周囲と比べて裕福でないという原体験がありました。
母が訓示してきたように「人より早く始めなさい、人の2倍やりなさい」を地で行ったことになります。裏返せば、「好結果を収めるにはそれぐらい必要」という現実を突きつけた言葉でもあると思います。
まとめ
以上読めばわかると思いますが、贈与や宝くじなどでまとまったお金が降ってこないかぎり、無思考にラクして経済的自由を達成するのは簡単なことではないと思います。
だからこそ、多くの人が「参考になる話」を聞きたいのだと思います。しかし繰り返しながら人生で多くを得るには、なにか突き抜けたことをしないかぎり、ただ漫然と口を開けて空から何かが降ってくるのを待っているだけでは多くを得ることなどできません。
しかしそれが厳然たる現実であり、まずそれを認識して自分がそれでもFIREをめざす覚悟があるのか、そしてそのためには何が必要なのかを突き詰めて毎日でも考えていくことが求められると思います。
実際私はそうでした。就職前から経済的自由をめざして好待遇の企業に絞っていましたし、還元率の高いクレカも大学生の時から調べていました。就職後も毎日昼休みなどは時間を確保して書店に通ったり試行錯誤を重ねていました。そうした過程が連綿と積み重なってFIREという結果が紡がれていますし、それだけの自負があります。
再現性を人々は求めていると思います。しかし能力や嗜好などあらゆる要素が人によって千差万別である以上、完璧な再現性というのは存在せず、取り入れられることを自分なりに取り入れ、最終的には試行錯誤してみずから練度を上げていくしかないと思います。厳しく聞こえるかもしれませんが、しかしそれがFIREをめぐる現実であると思います。
そのためには思考が結局は大事で、普遍的に通底するものであるとの結論から、資産形成のノウハウ本ではなく思考法に焦点を当てた『#シンFIRE論』執筆へと至りました。本書は私なりに世に提示する「FIREをめぐるひとつの本質的な解」であると自負します。