ブラックマンデーとなる週明け月曜日に買いたい日本株
日経平均先物が約2,500円安(≒6%安)で終えたことから、週明け9月30日の日本株は大きく下げて始まりそうですね。今年3度目のブラックマンデー。
高いレバレッジをかけるなど過大なリスクをとっていないかぎり「株価下落は、株を安く買える」ことに相当するため、中長期で株価が上昇する前提に立つならば基本的に歓迎すべき事象かと思います。
新総裁の金融関連発言を確認
石破新総裁が選出された当日9月27日にWBS(ワールド・ビジネス・サテライト)に出演していました。質疑応答の内容は以下の通りで、金融市場に一定程度配慮した発言でした。
―新総裁誕生で円高・株安が進んだ。高市さんと比べて金融緩和や財政出動に消極的との見方が背景にあるが、率直な感想は?
必要あらば財政出動はやる、あたりまえのこと。金融緩和を変えることは基本的に致しません。
―アベノミクスと距離を置いてきて、日銀の金融政策の正常化を進めるとの見方がある一方で先日は利上げを今すぐするのは反対との発言もあった。実際、今後の金融政策についての考えはどうか?
金融政策は物価の安定を主任務とする日銀が判断すべきこと、日銀は政府の子会社だとは思っていない。
―日銀に対して政府が何か要請していくことはない?
そのようなことは致しません。
―金融緩和を手仕舞いしていくなかで、丁寧にやってくださいということか?
そういうことです。
―金融所得課税への言及が以前あったことで株安が進んだと思われるが、総裁選の途中からはあまり聞かなくなったが現在の考えは?
税制は公平公正であらねばならない。貯蓄から投資へという流れは加速していかねばならない。と同時に、所得が上がると税率が下がるのはどうなんだろうねというのはある。
―金融所得が多い人にしっかり課税するということ?
それはこれから税調(税制調査会)の議論になるのであって、総理たるもの「こうだ」と決めつけることは致しません。貯蓄から投資へという流れを棹(さお)さすようなことはいたしません。
ということで、金融市場を刺激しない発言に終始した印象でした。ただし海外勢は円買いで反応していることから輸出系の企業で主力銘柄が構成される日本株には重しとなりやすく、新政権への円高思惑等による海外勢の売りが続くと日本株は弱そうです。
ただ為替以外で企業業績が損なわれる事象が発生したとも現状思えず、(金融所得課税もトーンダウンして高所得層にかぎる論調がうかがえ)現時点では下値を拾っていく姿勢かなと思います。ただし指数(日経平均株価)はPER15.9倍と適正水準15倍よりやや割高であり、少しずつ買い下がる程度。
足もと軟調な銀行株
三菱UFJ・三井住友FGを候補にしたいと思います。
上図は銀行株ETF(1615)とTOPIXの株価推移を比較したものです。植田総裁が「(利上げ判断に)時間的余裕ある」と発言した9月20日から銀行株がTOPIXに比べて軟調であることがわかります。
「利上げによる預貸利ざや・収益拡大が遅れる」との思惑が背景にあると推測できますが、低金利下で高収益を確保し今後利上げが目される目下、銀行業は増益を期待しやすい業種( 拙著『本気でFIRE〜』でご紹介の通り、純金利収入の占める割合が多い銀行ほど金利と株価に順相関)。三菱UFJ・三井住友FGは依然として比較的割安な状態(下表)と考えるので、基本的に下げれば拾っていきたい銘柄です。
株価 | PER | PBR | |
---|---|---|---|
三菱UFJ | 1,451 | 10.98 | 0.84 |
三井住友 | 2,954.5 | 10.97 | 0.78 |
ただし金利上昇がすでに織り込まれている可能性(ただし、先述のとおり植田総裁の発言で下げたので織り込みは一部はく落したかに思えるがどうか)があることと、銀行株は自己資本比率が低くもともとレバレッジが大きくかかった業態に加え景気敏感であるため景気後退や金融危機等となれば下値余地も応分に大きいリスクは常に抱えます。
あとは物流リートも候補としたいです。保有株でもあるオフィス系の時価総額の大きい日本ビルファンド投資法人(8951)は足もと大きく買い上げられ割安さが是正されました。直近の決算でオフィス市況の好転による分配金下支えを材料視したものと理解します。残る出遅れ割安感がある物流リート(大和ハウス、三井不ロジパーク等)が下がればひろっていきたいです。長期契約が多く賃料上昇期待が持ちにくいことが割安な背景にありそうです。
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PTSでは高市新総裁期待で上げていた不動産株が5%超下げ、逆に下げていた銀行株は2%弱の下げ幅にとどまっています。