高値から60%下落、資生堂(4911)新規買い
化粧品大手の資生堂の株価が低迷しています。2019年の高値から足もと6割引きの水準です。
同社の株価下落は、私鉄大手のような業績好調にもかかわらず需給悪化で下がっているような性質ではなく、単純に業績悪化が主要因ですね。

出所:決算資料
2024年8月7日に発表された2024年上期(1-6月)の業績を見ると、営業利益は前年同期比88億円減の193億円。これは前年同期の280億円から31%も減少し、市場予想を下回る結果でした。

出所:決算資料
主に空港などでの免税店販売や訪日外国人向けの「トラベルリテール事業」と中国事業が足を引っ張っていることがわかります。
トラベルリテール事業は、訪日外国人が増加している日本では堅調なものの、アジア(とくに海南島)で低調ですね。中国政府は日本製品が爆売れするのを好ましく思わず、国内製品の購入を奨励する政策を数年前からとっていましたから、とにかく戦略的にいったん誘致したあとは外資には厳しいんですよね。化粧品にかぎらずITや自動車産業なども。
また、同社は縮小傾向にある日本市場や、ほか欧米市場よりも中国への集中をしてきたところで中国の景気減速(とくに個人消費の減速)、ならびに新興ブランドの台頭におされている格好。たしかに実体験としても留学時代は日米欧の化粧品メーカーが中国のデパートを席巻していましたが、3年前には中国企業のメーカー(例:珀莱雅、自然堂など)が過半を占めるようになっていました。
同社が推進してきた中国市場への「選択と集中」は結果的にはハイリスクなものとなりました。とくに中国は前述のように政治的要素が経済に明確に浸食してくるので難しいですね。
ちょうど昨日中国の中央銀行は実質的な利下げを発表しました。利下げ余地は大きく景気のテコ入れが可能だとしても、そもそも資生堂が中国市場でシェアを落としている現実をふまえると、景気が浮揚したところでどうか、との感じには至ります。

出所:決算資料
今後の展望としては中国への集中から経営資源をグローバルに分散する志向のようですね。
まとめ
- 業績悪化により株価は低迷
- 中国への過度な集中が裏目に出る
- 今後はグローバルに経営資源を分散する志向
いったん集中した経営資源を再構築するには相応の時間が求められるでしょうし、業績良化として表れるのは当分先となりそうです。
とはいえ株価は将来を織り込んでいくため、資生堂の地力、そして反発期待に賭けるかたちで新規で1,000株購入しました。
なお指標は成長性がはく落したにもかかわらずPER64倍、PBR2.1倍と割高感は否めません。下値リスクもあるとは思います。
関連記事
セリアやジンズはまた買い戻しをねらいたい銘柄です。