FRBの「予防的利下げ」を受け、世界的なリスクオン相場が到来か
今週は
- 原油、ビットコイン、新興市場が好調
- 金や債券が相対的に低調
となるなど、典型的なリスクオン相場の様相ですね。
利下げによる基本的な影響
米FRBが0.5%の利下げを決めました。米国が利下げに転じるのは4年ぶりであり、金融市場においては転換期にあると言えます。
基本的に利下げをするということは、
- 債券価格が上昇(なので、2866を買いました)
- MMF、預金金利が低下(預金は時間差あり)
を意味し、景気後退をともなえばリスク資産は下がる傾向にありますが、景気後退をともなわない場合はリスク資産は上がる傾向にあります。
言い換えればこのまま米経済指標が良好に推移しソフトランディング期待が高まれば、株式などのリスク資産は世界的に上振れることが想定できます。
FOMCでパウエル議長の発言がありましたが、利下げの主眼は景気後退を懸念して下振れリスクを和らげるというよりは、あくまで金融環境を引き締めから中立に戻し「予防的な利下げ」といった位置づけ。
FOMCの結果
今回のFOMCメンバーによる予想FFレート(=政策金利、短期金利)は以下のとおりでした。

FOMC議事要旨(出所:Federal Reserve Board )
- 2024年末:4.4(5.1)
- 2025年末:3.4(4.1)
- 2026年末:2.9(3.1)
- 長期:2.9(2.8)
※カッコ内は前回6月時点の値、単位:%
今回のFOMCで0.5%利下げしたことにより、米国の政策金利は4.75%〜5.00%となりました。したがって上述「2024年末:4.4%」ということは、FOMCメンバーは年内にあと1回程度の利下げを予期していることになります。
ほかFOMCメンバーによる予想GDPは前回とほぼ変化なく、予想失業率が概して「4~4.2% → 4.2~4.4%」となっていることから、労働市場の悪化を懸念しているもののソフトランディングとなる公算が高いと予想していることを意味していると考えられます。
中央銀行が必ずしも景気判断を的中させるとはかぎりませんが、少なくとも、繰り返しながら米経済指標(自動車販売台数、小売売上高、雇用統計など)に明確な景気後退の兆しは確認できず、今回のFOMCの結果で当局もソフトランディングを想定していることが確認できました。以上から、引き続きメインシナリオとしてはソフトランディング(株式にはポジティブ)としたいと思います。
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「予防的利下げなら株価は上昇、景気後退を伴う利下げなら株価は下落」というのが過去の傾向です。
引き続きメインシナリオを維持したいと思います。