せり市場という世界に存在する「特権階級」
特権階級と聞くとなにを思い浮かべるでしょうか。
王侯貴族や政治家、資本家でしょうか。
いやしかし「商人」というある種の特権階級が存在することを目の当たりにしました。
ひとにぎりの人間しか入れない市場
卸売市場に行く機会に恵まれました。関係者しか立ち入ることのできない区域です。
広大な敷地に高い天井を有する建物のなかには、
- 競り業者
- 一次卸し(競りで落札する人)
- 二次卸し(仲卸業者など)
- 各種問屋(肉・魚・青果など)
がずらりと並び、市場関係者の往来が盛んです。
一次卸し=新鮮
お肉はその場で精肉されるため、冷凍肉ではありません。新鮮な冷蔵肉が売られています。魚や青果なども新鮮です。
要は飲食店の店主や業者が買い付ける前、つまり飲食店やスーパーに出回る前の状態であり、あらゆる生鮮食品が新鮮そのものでした。
安く、確かな調達先
しかも安い。市場価格の3~4割引きのものもあります。マージンがない分安いのでしょう。
削りたてのかつおぶし、米問屋などもあります。たとえ世間ではコメ不足でも、市場では潤沢に在庫があることを想像させます。
スーパーなどにならぶ商品が、いつどのようにラッピングされて納品され、外食産業の品物がどう売買されているかを目にすることもできました。
商売というのは調達経路(仕入れ値)が大切ですよね。二次卸から買うルートしか持っていなければ、一次卸から買う人には競り負けます。そしてどれだけ確かなルートを持っているか。これは商売にかぎらず市井の人々にとっても重要かと思います。
たとえば以前も書きましたが、有事の際に農産物を送ってくれる知己がいれば、それは確かな調達経路になります。世間でコメ不足でも直接市場で買い付けるルートを持っていれば、それは確かな調達経路になります。
豊かな飲食店の集積地
市場には働く人がたくさんいます。築地市場に豊かな飲食店が集積したように、生鮮市場には新鮮な食材を用いた高質な飲食店がいくつもあるようでした。
これらの飲食店は市場の場内にあるため、一般の人は入れません。いわば一部の人にしか味わえず、加えて値段も比較的安価でした。
まとめ
「一次卸の市場にアクセスできる人」というのは、それだけである種の特権階級に属すると思いました。
- 人間の根幹となる「食」の確かな調達先を確保できる
- 国内外の生産物を①安く、②新鮮な状態で入手できる
- 市場関係者向けの魅力的な飲食店
競りも1時間ほど視察できました。専門性が高く、参入障壁の高い業界だと感じます。サラリーマンの働き方とは全く異なる世界ですね。施設が広いので中を歩いているだけで気づけば午前中だけで6,000歩いくのもいいですね(笑)
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