歴史的な円安下で高値圏の米国株(VTI)にも分散投資すべきか
以下ご質問に回答しています。
題名: 積立でVTIにも投資すべきか
メッセージ本文:
穂高様
初めまして。こんにちは。
いつも楽しくブログを拝読しております。
このたび、自身の投資方針に疑問が生じたため、照会させて頂けれ
(当然ですが、内容が不快・時間がないなど回答に値しないと判断
先に私の現状を記載いたします。
・31歳
・預金 1500万(現金)
・投資 新NISA成長枠で国内リートメインに120万
・月収 20万少し
・生涯独身予定 実家暮らし(就職時から月5万円手渡し)
新卒以来、預金での資産形成をおこなったため、同年代と比べた場
そのため、本格的にセミリタイヤを目指すべく、今年からは穂高様
疑問・不安としましては、このままリートや個別株への投資でよい
理由としては、投資先に偏りが出てしまい、分散投資に逆らってい
ただし、積立に関してはiDeCoで上限12000円を毎月かけ
穂高様でしたら、引き続きひたすら給与をリートに投資する方針を
世間ではオルカン積立、米株積立が人気のようですが、歴史的円安
お忙しい中、恐れ入りますが、回答頂けましたら幸いです。
これから暑い日が続きますが、お体に気をつけてお過ごしください
こんにちは。いつもご覧いただきありがとうございます。なにかしら参考になっていましたら光栄です。
ご質問の件、「何を優先するのか」という点に帰着するかと思います。たとえば、ご質問者さまの場合、以下二例に大別できそうです。
- 「セミリタイアをめざして配当金を多く得たい」のであれば、私なら一案として現在のJリートは妙味があるとの想定に基づいて、買い進めます。
- 「分散投資をして、精神的な安寧を得たい」のであれば、Jリート以外にも国内外の株式やリートに分散したほうがよいことになります。
① Jリート主体で配当を得ていく戦略
コロナショックでの分配利回り(加重平均)4.76%に対し、足もと4.75%まで高まっています。Jリートの分配金は概して底堅いため、分配利回りが指標として機能しやすい傾向があります。このあたりの水準は一定の妙味を感じられます。
なお昨今はいずれ日銀の利上げを控える状況であるため、先日ふれましたが、
- 国内金利の上昇に脆弱ではない銘柄を選ぶか
- 個別リートの分析をするほどでなければETF(例:1660)で分散する
ことが一案かと思います。
基本的に大手の高格付けのリートであれば、これから利上げが目される足もとで、変動金利で短期の借換えをするような下策となる財務戦略はとらないでしょうから、比較的買いやすいとは思います。
なお、投資妙味を感じる場合であっても、やはり投資の基本は分散ですので、数銘柄のみへの集中投資は積極的にはおすすめしづらいです。現金比率を多少は保っておくなどの「とにかく致命傷を負わない」投資を続けることが一般に肝要かと思います。
過去の下落率を確認すると、株式よりも下落率が大きくなるリスクもあわせて認識しておきたいところです(背景には、現物不動産はすぐに換金できないため、Jリートを売ることで暴落相場でリスク回避目的のヘッジをおこなう機関投資家の存在が指摘されます)。
- 9.11同時多発テロ
- SARS
- リーマンショック
- 東日本大震災
- チャイナショック
- コロナショック

出所:ニッセイ基礎研究所
事象 | 9.11 | SARS | リーマンショック | 3.11 | チャイナショック | コロナショック |
---|---|---|---|---|---|---|
時期 | 2001年 | 02~03年 | 08年 | 11年 | 15年 | 20年 |
TOPIX | -36% | -32% | -51% | -28% | -19% | -29% |
Jリート | -19% | -4% | -65% | -30% | -24% | -32% |
なお本来ならば、Jリートだけでなく、株式にも投資したいところですが、いかんせん日米株ともに指数は高値圏であるため、この水準から買っていくには、個別株を選別するか、指数ならば相応のリスク許容度と覚悟が求められるといった状況かと思います。
② 米国株への分散はどうか
通貨の分散、投資国の分散という意味で米国株は有力な投資先候補になります。
ただしおっしゃる通り、歴史的な円安下で、米国株自体も高値圏にあるため、「大きく資金を入れるにはやはり相応のリスク許容度と覚悟が求められる状況」かと思います。
コロナ以降、株式市場は歴史上でもかなり高水準の上げ方であることは間違いないので、「山高ければ谷深し」との可能性は念のため頭の片隅に入れておきたいところです。
投資経験が豊富でないかたには、投資で致命傷を負ってほしくないため、あえて以上のようにリスクをあげつらっていますが(笑)、以上のようなリスクをふまえて、本来ならばおそるおそる定期積み立てで買っていくような局面ではないかと個人的には思っています。
ただし、定期つみたてならば、投資額が大きくなる終盤で最もリスクが高くなるので、いつ始めても大差なしと思えますね。
Jリートに関しては個人的には妙味ありと判断しているため、買付余力を残して買い下がっていく戦略も一案だと思います(もちろん、低迷が続く可能性もあるため、ご留意いただければ幸いです)。
以上、回答になっていましたら幸いです。
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日銀会合前はとにかく不動産系が下がり、会合通過後に反発する傾向がみられます。今回は実際に利上げされた場合、どうなるかというところですね。
指数が高値圏にある今、割安に放置された株は少なくなったので、かなり選別する必要があると思います。相対的にJリートは出遅れていると思いますが、どうなるでしょうか。