京王電鉄はサプライズ増配、2期連続で最高益更新に死角はあるのか

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京王電鉄はサプライズ増配、2期連続で最高益更新

直近の株価推移(日足)

京王電鉄の決算が発表されました。内容自体はかなり良いと思います。

決算は良好、順当に考えると株価は上方向のはずだが…

24年3月期 決算概要
  • 今期純利益:コンセンサスより上で2期連続で最高益更新
  • 来期純利益見通し:前期比17%増
  • 来期配当:70円はサプライズと言える水準(前期比、約40%増配)
    → 京王のような企業がここまで増配してくるのは正直意外です。

これで1株利益280円(25年3月期、今回発表の会社見通し)に対する現在株価3,814円を基準としたPERは13.6。鉄道株としてはかなり低い水準です。

補足

ただし、同業のJR東海はPER9.0割れでも株価は短期的には低迷中

順当に考えると、直近株価が冴えないなかで「今期決算○、来期見通し○、株主還元○」という流れなので反騰を見込める展開ながら、今までの動きを見るとそうも思えなくなります。

直近の傾向から紡ぐ悲観シナリオ

まず前四半期は最高益を更新からの、「株価上昇 → 寄り天 → 材料出尽くしで売り込まれる」という展開、上値を切り下げて低迷中というのが現在に至る状況です。

京王のように信用買い残が多い場合は、株価が反騰しても、信用勢の売りに押されて押し目が深くなる傾向があります。ただこれは機関投資家の売り残がそれより多ければ買い圧力のほうが潜在的に大きいため、需給面で大した問題にはならないはずです。

しかし京王の場合は2023年11月末の「ICSによる空売りポジション解消」を最後に、空売り残がデータ上は見当たらず、あるとすれば保有分の売り、いわゆる「実弾」でしょう(後述の西武の例)。

ちなみに日本株は陸運セクター全体として直近やたら売り込まれており、鉄道系は軒並み株価が低迷しています。陸運セクターの空売り比率は直近45%程度と高く、機関投資家がかなり売ってきているようです。

補足

たとえば、以前記事にもしましたが、東武は空売りファンドで有名なシンガポールの「ICS」売り乗せしてきています。

この手の機関による「空売り」ならいずれ買い戻し圧力になるのでまだよいですが、西武を一例とすると三井住友信託の持ち合い解消による売りや、京王を一例とすると大量保有報告書に記載の野村アセット保有分472万株など「実弾」で売ってこられると買い戻し圧にならないので需給面で株価が崩れる原因になるはずです。

このように時価総額のわりに出来高が少ない鉄道系は、業績がよくとも短期的には需給面で狙われやすい(=個人の信用買いを切ってくる)と考えられ、よく言えば妙味があり、わるく言えば需給面をふまえる必要がある、と言えそうです。

まとめ

ということで、京王の決算自体はよい印象です。しかし陸運セクターで「空売り比率の高止まりや、持ち合い解消等による実弾とみられる売り」が最近みられ、株価はやたら低迷しています。

週明けの株価は素直に反応すれば上昇トレンドへの回帰または寄り天ですが、直近の傾向を見るとなんとも。ただメルカリにしても、直近で売り込まれた銘柄は、決算が無事通過すれば反騰する事例が散見され、京王もご多分に漏れずそうなるか、注目しています。

個別株をはじめた方がよく言う感想として「好決算なのに株が大きく下がった、株はよくわからない」といったものがあります。それはまさに、株価は上述したような需給面でも形成されるため、複合的な要因で収れんするからこそ生まれる感想なのだろうと思います。

なお、京王の株式は保有しており、含み損となっております(ズコー)。

出所:いらすとや

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