本能のまま生きてこそ人生、毎日が青春 三條三輪『ひとりで生きて99歳』
タイトルがおもしろそうで、読んでみるとおもしろい本でした。
表紙がやたらオカルトっぽい色調で怖いのですが(笑)、中身はオカルトではありません。
とくに前半が興味深かったです。本書のキャッチフレーズは、ずばり以下です。
- 本能のまま生きてこそ人生、毎日が青春
友人にこう伝えました。
穂高 唯希
友人
「人間性」を真っ向から否定する結婚制度
婚活する理由のひとつが「老後、孤独になりたくないから」だそうです。
現在のような結婚制度が始まったのは、明治民法が成立した1898年。たかだか125年の歴史しかありません。
昨今の芸能人の不倫報道を見ていると、「結婚という制度は、はたして人間の本能に合っているのか?」と考えてしまいます。私には何十年と、同じ人を好きでい続けられる自信がありません。
(本書より引用)
これ一理も二理もありますよね。私もずっと感じてきたことです。「結婚制度とは人の本来の性質を、文明化にともなって抑圧した制度」という側面を否定することは難しいと思います。人類の歴史を知るほどに。
小林道彦『山県有朋』によれば、戸籍制度も、明治期に徴兵制を敷くための布石ですから、人間の本来の性質を起点として生まれた制度というよりは、多分に国権による個人に対する管理を目的としたものであった側面が透けて見えます。
変な話、大谷翔平さんが一夫多妻制を採ることに関して、理解を示す人は少なくないのではないでしょうか。「優秀なオスが結婚制度を作るとは思えない」という言説は説得的ですらあります。
「社会通念ほどあてにならないものはない」と私は思いますね。
長寿を織り成した習慣と食生活
そのほか、99歳まで生き長らえた一因となったであろう習慣や食生活の一端を垣間見ることができます。
もちろんこれは「鶏が先か卵が先か」のたぐいであり、同じことをすれば長寿が実現できるとはかぎりません。
しかし前時代を生きてきたからこその、現代における農薬や肥育促進剤の話、はたまた栄養バランス、食へのストレスの考え方など、いろんな書籍に通じる内容もみられ、納得感があります。
まとめ
ある意味、拙著『#シンFIRE論』に似た部分があるかもしれません。自伝的な側面。
自分の人生体験をもとに紡ぐ内容は、まぎれもなく事実に即した実体験であることから、ひとつの実例として説得的です。
とくに「ひとりで99歳まで生きた」という事実の裏に、どういった背景があるのか興味があったわけですが、そこはやはり「本能」という紛れもなく人間の多くを構成する要素が存在したことが確かであってきたことがうかがい知れる、共感を覚える一冊でした。