映画『飛べない風船』 大切な人を失うとはどういうことか
誰しもいずれは大切な人をこの世で失い、そしてその悲しみから立ち直っていく。これは人生において避けがたいものと思います。
地震などの災害で、自分以外の家族を全員失うといった報道を目にします。現実にそのような事例が存在し、そして残された者はかように惨憺たる状況でも生をつないでいくほかありません。
大切な人を失うと、その事実をあまりに受け入れ難いことから、だれかのせいにするという現象がみられます。
たとえば、夫を亡くした妻が、夫の母に「あなたのせいで息子は亡くなった」と責められるパターンです。妻は
- 夫を亡くした事実
- 不当にその責めを負う
という二重の苦しみを味わうことになります。
たとえ妻と無関係な因果だったとしても、夫の母はとにかく誰かのせいにして心の平衡を保とうとする現象です。そうして、自分を守ろうとする心理反応と行動が、まさに弊ブログでおなじみ「防衛機制」と呼ばれるものです。
大切な人を亡くしたことにかぎらず、当人が受け入れ難い事実を突きつけられたときに、「自分と向き合わずに、他人のせいにする(‥★)」という防衛機制は一般によく確認できます。
しかし本作にもあるように、★という行動は、周囲をひたすら傷つけることになります。そして往々にして当人はそれに気づいていない。
この★という行動は、自他ともに不幸にする行動です。したがって「人生において絶対にやってはならないこと」のひとつだと思います。なぜなら、繰り返しながら「ひたすら周囲を傷つけ、自他ともに不幸にする行動」だからです。
本作の骨子のひとつは、以上のような人間に見られる★という防衛機制にあるように思います。
そうした心理メカニズムが人間に備わっているということを知ったうえで、自身の心理を客観視する。そうした行動こそが、★のような行動を未然に防ぎ、よりよい人生を形作っていくものと思います。
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映画にかぎらず、あらゆる事象から感じ取れることは多々あるように思います。