いま「一括投資」はアリなのか
以下ご質問に回答しています。
穂高さま
本日は貴重なお時間の中、とても丁寧にお話を聞いて下さり有難うございました。
『本気でFIREをめざす人のための…』まだ手元には届いていませんが、読ませていただき基礎から勉強していこうと思っています。
またこの度お言葉に甘え、相談時間内にお聞き出来ていなかったことをこの場で質問させて頂くことお許しください。
お聞きしたい内容のひとつは、623万円を一括投資するケースです。
こちらを例えばオルカン等に一括投資し5%で10年間運用のシミュレーションをしますと、約1000万円となります。15年では1300万円です。
また毎月8万円の積み立て投資を同じく5%で10年間運用のシミュレーションをしますと1270万円となり、15年では2100万円です。
合計しますと10年間の運用で資産は2270万円、15年では3400万円と試算でき
考え方に問題が無ければ、教えて下さった2500万円と言うラインが見えてくるのかなと思っています。
書面にも一案として回答いただいていますが、一括投資はメンタル上問題ないのであれば、考え方や好みの話で「全然あり」と言える選択肢なのでしょうか。
その選択肢もありという事でしたら、NISAでこの額の一括投資は出来ないのでどのような方法になるか、ご教授頂けないでしょうか。
もし今回お話させて頂いた上でおすすめ出来ないという事でしたら、その理由をお聞かせいただけると嬉しいです。
またふたつめの質問なのですが、
「半分の額の300万円を1~2年で…」もしくは全額の623万円をある程度の期間で積み立てきる形で投資する場合、年間の積立額に上限があったとしても(=全額積立に時間がかかる)NISAの成長投資枠を使っていく方が得策でしょうか。
もちろん様々な条件や考え方で答えは何通りもあると思うのですが、
一般論的に答えて頂ける範囲でお答え頂けると助かります。恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。
こちらこそ先日はありがとうございました。お役に立てていれば光栄です。
はい、10年や15年という期間を過去と同様の収益率で運用できた場合、ラインも見えてくることになりますね。
一括投資はアリか
一括投資はメンタル上問題ないのであれば、考え方や好みの話で「全然あり」と言える選択肢なのでしょうか。
やや極端な例にはなりますが、「直後に暴落が来て含み損を長期で抱えるリスク」を承知のうえであれば、ありです。仮に市場が右肩上がりに成長することを前提とすると、一括投資は最も効率的な手法ということになります。
一括投資の場合、NISA枠が足りなければ特定口座という課税口座で投資することになりますね。
もう1点、客観的な事実として、日米株式ともに高値圏にあります。ただし、市場が成長する場合「今日の高値圏は、明日の安値圏」という考え方もできます。少なくとも現在言えることは、株価は歴史的に高い位置にあるということです。
NISAのつみたてペース
「半額の300万円を1~2年で…」もしくは全額の623万円をある程度の期間で積み立てきる場合、年間の積立額に上限があったとしても(=全額積立に時間がかかる)NISAの成長投資枠を使っていく方が得策でしょうか。
まず大前提として、非課税口座であるNISA枠を優先的に埋めていくことが得策です。そして最適な積立額は「今後の相場次第」であり、以下が結論です。
- 相場が低迷する場合は、時間をかけて投資したほうがよいことになりますし、相場が上昇していく場合はNISA枠と特定口座をあわせて全額をすぐ一括投資したほうが効率がよいことになります
したがって、相場が今後どう推移していくか、という予測不能なことに左右されます。どのシナリオ(相場が上昇する、または低迷する)に賭けるのかによって投資タイミングの判断が分かれることになります。
やや禅問答のようかもしれませんが、将来の株価が不明である以上、投資の是非は「どのシナリオに賭けて、お金をリスクにさらし、収益を期待するか」という点に尽きます。
どういう投資法がよいか、という絶対的な唯一の解はなく、「このシナリオならこの投資法がよい」という解があるだけです。逆に絶対的な投資手法やタイミングを述べる人には注意したほうがよいと思います。
要諦をおさえる
投資も諸事も、最大の要点、要諦をおさえることが先決かと思います。
本記事における投資の要諦とは、投資に親しんでいく、つまり実際に投資をしてみるという行動そのものにあると思います。
具体的には、全額一括投資か定期つみたてで迷うならば、とりあえず「1/4を一括投資してみる」というのもひとつです。そうして常に「行動 → 客観視」を重ねていくことで自分という人間、そして自分なりの解答が見えてくるかと思います。これは投資も諸事も似ているのではないでしょうか。
そしてあとの市場動向は不明であるがゆえに天に任せる、そんな気持ちで泰然と構えるのもひとつかと思います。
回答になっていましたら幸いです。
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