映画『52ヘルツのクジラたち』 史上最もティッシュを要した作品

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映画『52ヘルツのクジラたち』 史上最もティッシュを要した作品

2021年本屋大賞受賞 圧巻の傑作ベストセラー小説 待望の映画化

とてもいい作品でした。原作も読みました。

原作も泣かせますが、映画はそれ以上に泣かせますね。

小さな劇場に私のほか7名でしたが、すすり泣く声、終わりには鼻をかむ音がよく聞こえました。

おそらくこれ以上ないかたちで、原作を忠実かつ中核的な部分を漏らさず、そして原作と同じかそれ以上に心が動く描写でした。

実は、原作:町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』は、拙著『#シンFIRE論』の草稿段階では『ライオンのおやつ』と並んで言及していました。

近年読んだ小説では『ライオンのおやつ』と『52ヘルツのクジラたち』が個人的に両巨頭です。

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感じたこと

知り得ない世界を知れる

作中には、悲惨な状況にある人が出てきます。ふつうに暮らしていると、一般的にはおよそ知り得ない境遇の人です。

世の中に恵まれているように見えてる人、悲惨な状況に置かれている人、いろんな人がいて、隔絶された知り得ない世界を追体験できることが小説や映画の大きな効用のひとつであると思います。

たとえば弊ブログ読者は投資をしているまたは考えているかたが多いと思いますが、当たり前ですが微塵も考える余裕や発想のないほど凄絶な境遇の人もおられるはずです。

ときに自分の世界観を当然視してしまいがちですが、その偏った感覚をすこし揺り戻してくれる作用も、小説や映画にみいだせると思います。

いずれにしても、追体験は実体験ほどではないにせよ、世界観や想像力が広がるきっかけになるものと思います。

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私が映画を見る目的【学べることは無限に広がっている】 けっこう、物事の目的や意義を見いだそうとするタイプかもしれません。 ...

「魂のつがい」

運命の人と思えるような心のつながりを持てる人と出会うことができ、しかし生物的・物理的に決して結ばれようもなく、さらにはその人と二度と会えない環境に至ることは、どれだけ凄絶な状況でしょうか。

そうした極限ともいえる状況をいくつも擬似体験できる人生は、そうそうないはずです。

(他方、歳を重ねた方は「この歳になればたいていみんなそれなりのドラマがある」ともおっしゃいます)

本作はそうした疑似体験ができる作品とも言えます。魂のつがいを確信できる出会い、そんな人生体験の有無は、まさしく人生を変えるのかもしれません。

ありのままを受け入れること

人間がさまざまな面を持つ多面的な生き物である以上、どんなことでボタンのかけ違いが起こるのかはわからないものですね。

同時に、何気ない言葉がどのように伝わるのかはわからないですね。だからこそ言葉には気をつけたいものです。

そして、やはり人である以上、ありのままを受け入れてほしいという根源的な欲求がだれしもあるはずです。

最も身近な人が、もし「ありのままを受け入れる」ということを成し得なければ、着実に疲弊していくでしょう。そしていずれやはり好ましくない結末を迎えます。親子間など家族という緊密で閉ざされた世界ではなおのこと。

むすび

すごかったです。

映画館でこれほどティッシュ(または、ティシュー)を必要としたのは初めてです(笑)

怪演の俳優陣。原作の粋を詰め込んだ製作陣。驚嘆でした。

顔から力が抜けて、恍惚とリラックスできる作品でした。

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