配当利回りを上げるために、高配当株ETFに加えて個別株も買ったほうがよいか
以下のご質問に回答しています。
読者
新NISAがはじまります。
現在の配当利回りを上げたいので、
高配当株ETFだけでなく、個別株も買うほうがいいですか。
(前略)
投資方針は迷っていますが、積立枠は全世界株式、成長投資枠は米国の高配当ETFをメインに投資しようと思っています。妻の新NISAの投資枠を使うため、今年と来年に現金110万円ずつを妻の口座に移動予定です。来月の賞与を含めた500万円を今後、投資に回したいです。
積立投資枠より成長投資枠を優先しようと検討中です。しかし高配当ETFの購入タイミングが難しそう。
・現在の配当利回りを上げるため、個別株を買うべきか検討しています。
(後略)
以下のように整理できると思います。
個別株投資とは
個別株の特徴
- 購入タイミングの重要性が増す
- 盛衰がより顕著に出る
- 毀誉褒貶が激しい
「買うタイミングがよければ、ETFより高い配当利回りを望める」
個別株投資が意味すること
個別株投資をするということは、
- 高いリスク(価格変動)を受け入れて高い利回りを望むこと(★)
であり、
- (★)のような特徴を投資家として受け入れられるか、が焦点になる
個別株の特徴①:購入タイミングの重要性が増す
たとえば顕著な例として、高配当株ETF【VYM】と日本の高配当個別株をいくつか比べると、個別株は購入タイミングがより重要であると整理できます。
緑:VYM 水:三菱UFJ 赤:三菱商事
VYMは継続的に高値を更新しています。つまり、この期間において「いつ買ってもリターンがプラスになる確率が高かった」と言えます。
対して、昨今人気の三菱UFJはリーマン前の高値をいまだ更新できず、三菱商事は高値更新に14年かかっています。
つまり、「買値次第では含み損になりやすい状態で、それゆえに購入タイミングがより重要であった」と言えます。
個別株の特徴②:盛衰がより顕著に出る
今でこそ三菱UFJや三菱商事などの日本の大型高配当株は人気ですが、その背景には「足もと2年で株価が急速に上昇した」ことが挙げられると思います。
数年前はまったく話題になっていない銘柄でした。株価が低調だったからでしょう。
このように、個別銘柄の盛衰は、分散されたETFよりも、より顕著に表れています。したがって、「どの銘柄を、いつ買うか」という目利きがおよぼす影響が大きくなると言えます。
個別株の特徴③:毀誉褒貶が激しい
これまた昨今人気のJT(日本たばこ産業)ですが、株価がダダ下がりの2019年ごろは、SNSで「JT持ってるとか香ばしいですね」とのコメントを見たこともあります(笑)
それぐらい個別株に対する毀誉褒貶は激しい、つまりは株価の盛衰も激しい(購入タイミングがより重要になる)とも言えるでしょう。
そして毀誉褒貶が激しいということは、人によっては「株価が下がっている最悪のタイミングで損切りするリスクが高まる」と思います。
なぜなら、他者の視線や評価が気になる人は、特定の銘柄がこき下ろされているときに、同銘柄を手放したくなる心理がはたらく、と考えられるからです。
まとめ
以上、個別株の特徴として3つ挙げました。
- 購入タイミングの重要性が増す
- 盛衰がより顕著に出る
- 毀誉褒貶が激しい
これらはすべて、逆に言えば「買うタイミングがよければ、ETFより高い配当利回りを望める」ということでもあります。
結局は「買値がより重要になる」ということですね。
したがって、個別株投資をするということは、
- 高いリスク(価格変動)を受け入れて高い利回りを望むこと(★)
であり、
- (★)のような特徴を受け入れられるかが焦点になる
と整理できると思います。
以上のこともふまえて、お決めになるとよいのではないかと思います。
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