三菱地所「2024年3月期第2四半期決算」見た目は悪いが、内容は悪くない
2023年11月9日15時に、24年3月期第2四半期の決算を発表しました。決算内容に対する雑感をまとめると、以下の通りです。
- 見た目は悪いが、内容は悪くない
- 株価はおそらく下がるが、大きく崩れるなら買い増し
決算のポイント
ニュースでは以下のようにまとめられ、「減益」なので数字的に見た目は悪いです。
菱地所、上期経常が42%減益で着地・7-9月期も35%減益
三菱地所 <8802> [東証P] が11月9日大引け後(15:00)に決算を発表。
24年3月期第2四半期累計(4-9月)の連結経常利益は前年同期比42.4%減の752億円に落ち込み、通期計画の2320億円に対する進捗率は32.4%にとどまり、5年平均の42.2%も下回った。
ただ内容は以下のとおりで、「前期のキャピタルゲインの反動減で、今期のキャピタルゲインは下期に計上され、通期予想に対する進捗は想定通り」とまとめられ、2Q時点で内容は「可もなく不可もなし」といったところかと思います。
- 海外の⼤型キャピタルゲインの反動減、投資マネジメントのインセンティブ
フィー(ノンキャッシュ)の反動・⼀部取り消しにより前年同期⽐営業減益 - キャピタルゲイン・分譲住宅の引渡しが下期偏重であり、通期予想に対して
は想定通り進捗
通期予想
- 営業利益に関して、直近の状況を反映してセグメント利益を修正
コマーシャル不動産事業+70億円、投資マネジメント事業▲70億円 - 営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は修正なし
もともと1Q時点では、「2Q以降に計上予定」としていたキャピタルゲインが、3Q・4Qに持ち越されたということですね。
財務:今後の金利上昇に備えあり
三菱地所は不動産事業であり、物件取得という大型の設備投資によって負債が多くなりやすい業態。ゆえに金利が上昇すれば不動産にとってはリスクになりえます。
ただし三菱地所は、引き続き長期固定比率が高く、日銀の政策修正があってもただちに大きな影響を受けることはないと考えられます。
補足
2023年3月期の通期決算時点と比べると以下のように推移しています。
長期比率:93.2% → 90.4%
固定比率:87.0% → 85.9%
実際、地所の社長はテレ東番組に先般出演の際も、「(日銀の政策修正は)大きな影響はないと考えている」と述べていました。
空室率:依然として良好に推移
- 引き続き空室率も都心5区に比べて堅調に推移
(丸の内:2.47%、都心5区:6.15%)
株主還元:総還元割合50%超
- 地所は増配はゆるやかながら、自社株買いを配当と同程度おこなっており、総還元性向50%超と適度な水準
EPS目標:7年で+50%
- 三菱らしく堅実な事業運営とおぼしき地所は、7年でEPS+50%を目標
したがって、ピカピカの成長株のようなEPS成長は望めないものの、今夏のような割安な水準で仕込めると、割安是正のうねりに乗りつつ、手堅い安定成長が期待できる。そんな銘柄だと思います。
まとめ
- 見た目は悪いが、内容は悪くない
- 株価はおそらく下がるが、大きく崩れるなら買い増し
内容的には可もなく不可もなく、下期に計上されるキャピタルゲインの額次第で通期予想に合わせてくる水準となるか、というところ。
日経先物が下がった地合いもあり、おそらく前場で下げてきそうですがむしろ押し目買いの好機となることを念頭に置きたいと思います。
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1Q決算内容です。
地所は今夏16連騰を演じました。
財務的には利上げ懸念で下がる局面はむしろ買いの好機ととらえています。