サイバーエージェント、23年9月期決算「今期を底に、増収増益にコミット」
11月1日、サイバーエージェントの2023年度9月期通期決算が発表されました。買い増したくなる内容でした。
決算を受け、翌日に株価は前日比+6.95%と大きく伸びました。「反転攻勢」の確度が高いと見受けられる決算会見で、かなり買い増したくなる内容です。
決算会見の骨子は、以下の通り要約できます。
- 直近の営業利益が落ちているのは、今後に向けた仕込み(積極投資)によるもの
- 藤田社長「調子が良いときに次の種を仕込むことをモットーにしている。この3年多くの種を仕込んだ。今後は増収増益にコミット」
- AI研究分野で日本4位、世界49位
※なお、以下画像はすべて同社決算資料から引用しています。
2023年度 通期決算:増収、減益
- ウマ娘低調となっても全体として増収維持。ゲーム事業以外はすべて増収
- 営業利益は全体として減益ながら、「AI・DXの積極投資で営業利益が落ちているのは問題なし」との社長発言
このスライドを説明する際に、藤田社長は以下のように述べています。
調子が良いときに次の種を仕込むことをモットーにしておりますので、とくにこの3年非常に多くの種を仕込んできました。今後は増収増益に向かいたいと思っております
決算会見を見ていましたが、この発言が今回の決算内容を物語っている核心的な部分だと思います。
来期見通し:仕込んだ種が収穫期を迎え、増収・増益へ
上のスライドについて、会見で藤田社長は以下のような発言がありました。
- 2023年の業績をボトムとし、今後は増収増益へ。
- ABEMA、ゲームの新規タイトル、AI・DX、医療分野の進出など、「よい時期に次の種を仕込むことをやってきた自負があり、その収穫期となる見通しが立った」
事業別見通し
- 「増収増益にコミット」と明言、確度の高さをうかがわせる文言
ABEMA事業:黒字化目前
決算会見の内容をまとめると、以下のとおりでした。
- 大きく投資していた時期から収穫期に入るので増収増益となりやすい
- ワールドカップの一時的負担もなくなる
- 黒字化目前
ABEMAの良好な見通しの理由としては、以下のとおり。
- 広告と周辺事業(Winticket)
- 視聴者数の増加
- オリジナルコンテンツ(世界の果てにひろゆき置いてきた」のヒット
上の画像のとおり、相変わらず「Winticket」が伸び続けています。
「Winticket」とは、「競輪(KEIRIN)・オートレースのライブ映像の視聴・ネット投票が可能なインターネット投票サービス」のことです。
いわば公営ギャンブルですから、胴元や周縁はそれなりに手堅い収益が入るかもしれません。
こうした周辺事業を追い風に損失改善が続いており、同社は「2026年の黒字化をめざす」としていましたが、この損益改善具合の勢いでは、来期に黒字化も視野に入りそうなぐらいですね。
広告事業:仕込みから収穫期へ
決算会見の内容をまとめると、以下のとおりでした。
- 中長期にわたり増収トレンド維持
- 一方でAI・DXに大きく投資してきたので、収穫期に向かう
- そして利益率の改善にも着手済
ゲーム事業:上方修正の余地あり
決算会見の内容をまとめると、以下のとおりでした。
- 既存タイトルは、ヒットしたものほど長寿化の傾向あり、それを維持していく。
- それとともに新規の大型タイトルが3つ以上。ゲームのヒットは織り込んでいないかなり保守的な業績予想としている(=つまり上方修正の余地あり)
以上が同社決算会見の内容まとめです。
本丸は「AIシフト」
ゲーム事業は浮沈の大きい性質であり、同社の本丸ではないと私は考えています。
あくまでABEMAを中心とした事業形態を構想しているとみられ、なにより本丸はAI(人工知能)でしょう。
藤田社長はかねてよりAI重視の戦略が見え隠れしており、専門の部署や研究機関との提携など進めてきました。
結果、生成AI技術で「日本4位、世界49位」の序列となっており、ABEMA、広告分野など多様に横展開していくと考えられます。
株価は反転つづく公算が高いか
そしてさらには、決算会見で再三にわたって言及していたように、「今期まで仕込んだものを来期からは収穫する時期。今期を底に、増収増益へ」となる確度はかなり高いことをうかがわせる会見でした。
だからこそ減益にもかかわらず、決算翌日の株価は大幅高となったのでしょう。
また、会見の最後に藤田社長は「低迷している株価も上げていきたい」と発言。
増収増益をふまえての発言か、自社株買いを想定しての発言かは不明ですが、少なくとも「現在の株価が低迷している」と認識しているようですね。
まとめ
- 「反転攻勢」の確度が高いと見受けられる決算会見
- 直近の営業利益が落ちているのは、今後に向けた仕込み(積極投資)によるもの
- 藤田社長「調子が良いときに次の種を仕込むことをモットーにしている。この3年多くの種を仕込んだ。今後は増収増益にコミット」
- かねてよりAI重視を掲げており、生成AI研究分野で日本4位、世界49位
現在の株価は、ウマ娘が好調であったときの高値から65%下落しています。
同社株は先日の記事のとおり購入しており、今後は来期の増収増益を織り込んで反転していく動きを想定しやすい状況だと個人的には思っています。買い増しを検討したいと思います。
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