米国の優良増配株が買える水準になってきている
米国長期金利が上昇し米国株が下がっているなか、買える水準になってきている個別銘柄がちらほら出てきています。
とくに以下2つの優良銘柄は買える水準になってきていると考えています。
- Deere and Company
- MSCI
ディア―(DE):過去8年で最も割安
世界最大級の農機具メーカー「ディア」は、増配率が高い銘柄で、現在以下のような状況です。
- PER:10.7(過去8年で最も割安)
- PBR:4.5(過去平均5倍台後半を下回る)

ディア―の株価、EPS、PER(出所:Macrotrends)
直近3年で、EPSは3倍も、株価は2倍にとどまっています。そのためPERが低く推移しています。
PERが10倍ということは益回りが10%あり、米国債の5%より高く、債券に負けないバリュエーションです。
下段のとおり、さすがに向こう3年のEPSは横ばい予想ですが、ここから金融ショックなどの暴落局面にならないかぎり、じゅうぶん買える水準になってきたと考えています。
以下、同社の特徴をおさらいしておきましょう。
同社の特徴はシンプルに言えば、以下3つのグラフに集約されるでしょう(グラフをクリックすると表示が変わります)。
① 近年、増配が加速
- 過去2年で4回も増配。+31%($1.05 → $1.38)
- 理論的に「増配率≒利益成長率」に収れんするので、高い増配率は、高い増益率を示唆します
② 増配余力は高い
無理に配当を出していないか確認してみましょう。
- 利益>配当となっています。
- 配当の源泉は利益なので、利益成長が大きければ配当も高い成長を望めます。
③ 株価と小麦価格に連動性
株価と小麦価格(シカゴ先物)に一定の連動性を確認できます。
- 小麦が下がっても株価は小麦ほど下がらず、逆に小麦が上がると株価は小麦より上がる傾向。
- 「穀物価格(例:小麦)が上がれば、農家も潤い、主力の米国を中心に農機需要が拡大、値上げもしやすい」という構図が考えられます。同社は2022年に値上げしています。
MSCI:過去4年で割安な水準
MSCIは世界有数の指数算出企業で、高収益・高増配な銘柄です。現在、以下のような状況です。
- PER:41.8(過去4年で割安な水準)

MSCIの株価、EPS、PER(出所:Macrotrends)
PER41倍という数字は、通常の企業ならきわめて割高な水準です。
ただMSCIは、金融市場における資産運用額の増加にともない、「指数算出という参入障壁がきわめて高い事業」が好調ゆえにPERが伝統的に高い企業です。
実際に上図を見ると、過去PERが41倍ほどの局面では、絶好の買い場となっていたことがわかります。
ここから金融ショックなどの暴落局面に見舞われないかぎり、じゅうぶん買える水準まで株価が落ちてきていると考えています。
以下、同社の特徴をおさらいしておきましょう。
同社の特徴はシンプルに言えば、以下3つのグラフに集約されるでしょう(グラフをクリックすると表示が変わります)。
- 配当
- 利益と配当
- 株価と運用資産残高
① 高い増配率
5年で約3倍。
配当利回りは約1%ですが、この増配ペースが続けば数年で高配当化することになります。
2022年には、3Qで20%増配した半年後に10%増配しています。
② 増配余力は高い
無理に配当を出していないか見てみましょう。
利益>配当となっています。
③ 株価と運用資産額に連動性
「MSCIの株価」と「MSCIが算出した指数をもとに作られたETFの運用資産残高」は、下図のとおり相関しています。
背景に以下構造があります。
- 指数を算出する会社(例:MSCI)
指数使用料(License Fee)を継続的に受け取る - 運用会社(例:バンガード、大和証券 など)
指数をもとにETFをつくり、指数使用料を払う
MSCIは指数(指数とは、日経平均株価のように特定の地域や分野の株価を数値化したもの)を算出する会社です。金融機関は指数をもとにETFを組成し、MSCIにライセンス料(例:運用資産残高×定率)を払います。いわば、MSCIは運用業界の元締め・胴元です。
各社がMSCIの指数を採用しない等の事態とならないかぎり、MSCIは運用資産残高に応じて継続的に使用料を見込める構造です。
まとめ
- 昨今の米国株下落により、参入障壁が高く、競争力・増配率が高い優良銘柄「Deere and Company(DE)」「MSCI」が買える水準になってきていると考える
- ここから金融ショックなどの暴落局面とならなければ、過去の傾向としては結果的に買い場となったPER水準
現在、ドル資産の多くは米国の短期債に入れていますが、様子を見ながら何回かに分けてこれら銘柄を慎重に買っていこうかなと考えています。
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